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和田行男の「婆さんとともに」

不安 瞬時の応え

 両親は二人暮らし。いつからかおふくろさんが認知症に。様々に相談にのってきた友だちから届いたメール。
 途方に暮れさせてはならないと精一杯応える僕は、人間・個人和田行男でもあり、専門職・組織人和田行男でもある。

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(12時36分)
おやじが亡くなりました。
おふくろは入院中ですが退院が決まり、色々準備している矢先でした。
おふくろには、ちゃんとお別れをさせてやりたいのですが、入院中でもあり精神的にも不安定な中、どうすればいいのか途方に暮れています…

(12時46分 和田返信)
よくメールをくださいました。
お父さんの死で、むやみに自分を責めることのないように。
お母さんの力になってやらねばなりませんからね。
人の死は誰もに平等にやってきますが「お別れ」は一度きりで限られた時間しかありません。
長年連れ添ってきた妻にとって有意義な時間にしてやれるよう、あなたが思考されることを願っています。
友だち和田に言える最大の言葉であり、それぐらいしかお手伝いできなくて「ごめんなさい」の言葉でもあります。
残されたお母さんのことは相談されれば全力をあげて、あなたと共に思考し行動させていただきます。
ご冥福をお祈りします。合掌

(21時14分)
おやじの通夜は月曜日なので日曜日にはおふくろを連れてきて、ゆっくりお別れをさせたいと思っています。
どんな展開になるか不安もあるのですが、和田さんからのメールが力になりました。

 21時に返信をもらうまで「不安だらけ」の僕でしたが、友人がいずれの態度表明をするにしろ、途方に暮れていた状況に決着がつけられたので応えられたようです。
 いつのときも「瞬時の応え」はキビシイものです。


コメント


 うちのホームで殆ど身寄りのないに近いお婆ちゃんが永眠された時、御家族から火葬に出て貰えれば…というお話から、火葬に行く?と他のお婆ちゃん達に聞いたところ、「それなら行かなくちゃ!」という返事が返ってきました。
 認知症もあるので、勿論とんちんかんな行動はありましたが、みんなそれぞれにお別れの時間を過ごすことが出来ました。とても大切なことだと学んだ思い出深いことでした。


投稿者: みーこ | 2010年01月27日 01:34

 多分、どんな状態にあっても、特に近い人の死に関しては敏感に感じ取ると思いますし、向き合うことがとても大切だと思います。
 きちんとしたお別れは、私たちが事欠くことがないように思うことと同じですもんね。
 以前、利用者さんの母親の葬儀で付き添ったことを想い出します。認知症の状態にある方でしたが、喪主をしっかり務めました。
 悲しかったけれど、母親の死を受け止めて認識し自分の中で消化していく様を見せていただきました。
 大事なことほど、きちんとそのままを伝えることが大切だとその時思いました。
 和田さんの友人の方、お母様へのお気遣いとご自身の気持ちの整理も、きっと大変なことと思います。

 ご冥福をお祈り申し上げます。


投稿者: sakura | 2010年01月30日 01:12

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち97年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会代表としても活躍。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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タイトル:『認知症になる僕たちへ』
著者:和田行男
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