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和田行男の「婆さんとともに」

頭を下げる

 あけましてあめでとうございます。
 今年も和田行男というヤツと変わらぬおつき合いのほど、よろしくお願いします。今年は笑いの絶えない年にしたいと願っていますが、はてさてですね。
 年末年始は気象が荒れましたね。帰省や旅行で出かけていた人は、無事にUターンできましたでしょうか。
 今年は1月1日祝日、2日土曜日、3日日曜日で正月休みが少ないので、バタバタ正月になったのでは。いや、不景気で痛めつけられ、曜日や願いに関係なく休まされている人もいることでしょう。その点、「介護」という業界は恵まれているし、守られていますので、しっかりと国民にお還ししないとね。

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 さて、気象条件が悪いときにいつも思い描くのが「謝罪」だ。
 ぴんとこない方もいるやもしれないが、例えば「気象条件の悪化で到着が遅れ、皆様に大変ご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。」という航空会社のアナウンスとか、「○○付近の突風により、しばらく当場所で待機させていただきます。列車が遅れ大変申し訳ありません。」という鉄道会社のアナウンスが流れるたびに、何で遅れた原因の当事者でもないのに「謝罪」するのかと不思議で仕方がない。
 きっとアナウンスしている人たちの中にも「何で、気象条件で遅れたことを自分たちが乗客に謝る必要があるのか」と疑問をもちながらも、マニュアルがそうなっているから一応謝罪している人もいるのではないか。
 僕が国鉄にいたときのように、列車を止めてもその理由を乗客に伝えないという非礼な姿勢には疑問をもつが、何でもかんでも謝罪されるのも同じくらいに疑問だ。
 これと同様に、僕らの仕事の中でも「まずは謝罪」という人がいるが、僕は反対だ。
 苦情にせよ事故にせよ「ご心配をかけました。早急に調査してご報告させていただきます。」がスタート地点であり、その結果自分たちに落ち度があることが明らかになれば「謝罪」するというのが適切ではないか。
 特に利用者1名に対して職員1人がつけない介護保険事業では「致し方がない」場合がたくさんあり、制度の脆弱が原因で起こることまで事業者の責任を問われるのは、なんとしても納得がいかない。
 時節柄「ご挨拶」が多いお正月だからこそ、頭を下げることの意味を改めて噛み締め、ことに当たりたい。

追伸
 昨年の冒頭で、僕が非常勤講師にいかせていただいている東洋大学が箱根駅伝で優勝したことと、城西大学の石田選手が途中棄権したにもかかわらず、その後に走った選手が幻の区間新記録をつくったことに感動したことを書かせてもらったが、今年も東洋大学は圧倒的な強さで勝利した。しかも、練習よりも勉学を優先した新しい監督の方針のもとというからすごい。
 また、今年も感動させてくれたのは城西大学石田選手。昨年は低血糖を起こして途中棄権という結果になったが、1年間徹底的に生活を改め厳しい練習に耐えて肉体改造し、今年は見事な成績でたすきをつなぎ総合6位に入り、城西大学はシード権(10位以内は予選会をパスできる)を手に入れた。
 箱根駅伝は「ひとつのことをチームで成し遂げる」をいつもわかりやすく問題提起してくれる競技であり、頭が下がるばかりだ。
 今年もよろしくお願いします。


コメント


 「謝罪」私も同感です。うちの施設でもケース記録を読んでいると「~があったのでご家族に謝罪した」という文章が頻繁にあります。とっても悲しいな、と思います。これだけ頑張っているのに…。
 利用者と家族に事の成り行きを説明して、調査が必要なものは調査する、共感してもらえることは共感してもらうことは必要ではないかと思います。自分たちが介護保険という制度の元で真剣に前向きに仕事をしていることはみんなにアピールしていくことが必要だと思います。前向きに前向きに。


投稿者: さが | 2010年01月05日 13:23

 始めまして。いつも的確なアドバイスありがとう御座います。
 謝罪。。。特に日本人は多いような気がしますが、私だけでしょうか? 自分が悪かった。。。とか? まずは、原因追求でしょ? なんて思ってみたりしました。


投稿者: チャーリー | 2010年01月08日 13:29

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち97年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会代表としても活躍。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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