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和田行男の「婆さんとともに」

わけ

 ムゲンの佐野さんから「わかりやすい・ためになるだろうご質問」をいただきましたので、和田なりの考え方をのべさせていただきたいと思います。
 まずは、パチンコ依存とは何への依存なのかがわからないと支援策が描けませんので、そこから考えてみたいと思います。

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 パチンコへの依存と聞くと、パチンコに依存している=パチンコ屋に行くことなしにいられない状態=行かせるか・行かせないか=その手段は…となりがちですが、その前の作業をしてみたいと思います。
 よくある「パチンコそのものに依存している理由」といった分析を加えるのは一般的なのでここでは触れず、「パチンコ」を分解して、パチンコがもっている要素を考察し、そこから支援を考えてみたいと思います。

 パチンコを分解すると。
  ①パチンコを打つ(正確な表現かどうかは?)
  ②パチンコ屋で打つ
  ③人が絡む(仲間、店員など)
  ④お金が絡む(維持、増える、減る)
 といった要素が浮かんできます。
 パチンコのことがよくわかっていないので、ごく簡単な分解しかできませんが、仮にこれだけのことが「パチンコ」の中にあるとします。
 ①は、パチンコ屋に行かなくても代替策を見つけられそうです。パチンコが打ちたいということなら、パチンコ屋まで出向かなくても、自宅や施設にパチンコ台を置けばよいということになります。
 ②は、パチンコ屋に行かないことには成立しません。パチンコ屋にある雰囲気などを他で取り繕っても、所詮はまがい物でパチンコ屋にはなれません。あわせてパチンコ台の種類を、パチンコ屋ほど選択できる数まで用意できるはずもありません。
 ③は、特定のパチンコ屋でなければ成立しません。これはパチンコ屋ならどこでもよいわけではなく、そこに行ってこそ、あるいはその人たちと会ってこそ、その関係性が担保されるということですから代替策は無理とは思いませんが、難易度は高いでしょうね。
 ④は、複数が考えられます。ひとつは、お金が絡むスリルとでもいいましょうか、いわゆるバクチですね。これは本職のパチンコ屋でなければ成立しきれないでしょう。ただし、工夫によっては「スリルやバクチ」への方策はなくはないでしょう。
 ひとつは、お金を増やしたいという欲ですね。これは上記よりも深刻な場合を指しますが、お金を増やしたいだけなら代替策は見つけられそうですね。

 つまり、その人が「パチンコ」に含まれている要素のどこに依存しているかで、支援策はずいぶんと変わってくると思います。
 だから佐野さんからの「パチンコに依存している人への支援は」へのお答えとしては、この情報がほとんどない時点で考えられる支援策は「あるともないとも言えない」ということになります。
 それからもうひとつの課題として出されている「手薄」ですが、実際にはこちらのほうが支援に結び付けられるかどうかの要素としては重大です。
 いくら行動を分解し考察して支援策まで描けたとしても、それを実行するのに必要な手がなければ実施できない=支援できないということで、これは明確にしやすいですね。
 介護保険事業に従事している専門職が、この仕事の専門性を高めていく過程で必ず行き当たるのは、支援策が見出せないことではなくて、見出しても実施できないということだと僕は言い切っています。
 だから僕は逆に「見出せていると言い切れるほど詰めているか」いうことにこだわりをもち、「見出せても実施できる手がない」ということを口実に、実は見出せていない専門職気取りになったらあかんと思うわけです。
 ひとつの事象を「丸呑み・鵜呑み」にするのではなく、徹底的に分解して、その上で手立てを考察していくと、「できること・できないこと」が良く見えるし、そのことが見えれば、丸ごと捉えてできないと思い込んで無駄に疲弊することを防ぐことができるのではないでしょうか。
 佐野さん、質問に的確にお応えできませんでしたが、いい題材をありがとうございました。


コメント


 パチンコ依存症に詳しいお医者さんの話では、派手な音や光の演出が快楽物質であるドーパミンを分泌させ、脳の興奮状態を引き起こすそうです。
 要は「大当たり」で台がビカビカしてジャンジャン玉が出てくると「ウハウハ」気分がいい! これが癖になって、パチンコしたい衝動が抑えられなくなるのです。和田さんの分析にはないけど、人でも金でもない「刺激」が最大の「要素」だと思うのです。
 かつて依存症に近かった私の経験だと、抜け出せたのはファミコンのおかげでした。ドラゴンクエストなどのゲーム世界は、はるかに複雑な刺激に満ちていました。おかげで睡眠不足になりましたが、パチンコ店には行かなくなりました。その後、スーパーファミコンやプレイステーションに熱中し、今はDSもウィーも飽きてやめたけど。
 だから高齢者でパチンコ依存症の人には、ゲームを勧めたらどうでしょう。今はウィーで、誰でもできる体感型のゲームがいろいろ出ています。道具をうまく利用するのも「支援」のうちではないですか?
 それで「刺激」への衝動が落ち着いてくれたら、次の支援策が考えられると思います。


投稿者: あが | 2009年09月24日 21:01

あがさんへ

 なるほど、単なる「刺激」ですか。
 「刺激」ならパチンコに取って代われるものに行き着ける可能性はありますよね。
 でも「パチンコによる刺激」「パチンコでしか得られない刺激」というのはないんですかね。あるとしたら、パチンコに代わるものはパチンコでしかないということになりますが・・・。
 あがさんの場合は求めたものは「刺激」ではなく「回避」だったのではないでしょうか。何でもいいから何かから回避する。そのための手段としてパチンコやゲームや自転車や・・・そんなことはないですよね。でも、あり得るんですよね。
 コメントを寄せていただいたのに、失礼しました。


投稿者: わだゆきお | 2009年09月25日 02:46

 和田さんの御気持ちがわかりました。

 今の特養に勤務してからも、毎日、反省してきました。しかし、今日・・、仕事中に歌を歌うなと先輩から言われました。もちろん、私の仕事が遅いということからだと思います。
 私事で大変恐縮ですが、今・・愛する人から振られ・・友達も少なく・・仕事もこのような状況からでしょうか???今日、凄く・・・イライラしてしまい・・・御利用者に対する接し方にイライラが出てしまい・・本当に反省しています。 
 元来、能天気な性格なのですが・・・珍しくイライラしてしまい・・・本当に反省していますが、まだ、イライラに対する解決策が見つからないままです。
 和田さんのイライラに対する解決法やあがさんのイライラ解決法を読ませていただきましたが、私は、大学を辞めることもケアマネ受験の勉強を辞める事も教習所に行く事を辞める事も出来ません・・・・。イライラの解決策を考えます。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2009年09月25日 05:05

 今回のブログ内容と違うことをコメントすることをお許しください…。

 前回の和田さんのイライラした御気持ちがわかりました。

 今の特養に勤務してからも、毎日、反省してきました。しかし、今日…、仕事中に歌を歌うなと先輩から言われました。私の仕事が遅いということからだと思います。
 私事で大変恐縮ですが、今…愛する人から振られ…友達も少なく…仕事もこのような状況からでしょうか???今日、凄く…イライラしてしまい…御利用者に対する接し方にイライラが出てしまい…本当に反省しています。 
 元来、能天気な性格なのですが…珍しくイライラしてしまい…本当に反省していますが、まだ、イライラに対する解決策が見つからないままです。
 和田さんのイライラに対する解決法やあがさんのイライラ解決法を読ませていただきましたが、私は、大学を辞めることもケアマネ受験の勉強を辞める事も教習所に行く事を辞める事も出来ません…。イライラの解決策を考えます。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2009年09月25日 05:10

 寺内さん江
 大変失礼ですが、私笑ってしまいました。なぜなら、私も!!!だから(^^)
 私も数ヶ月前にフラレ、イライラ、グスンの繰り返しでした。私は受験勉強に専念しましたよ。
 それで自分の人生が豊かになるならいいなと思って。色んな占いやって、良い事ばかりを鵜呑みして、数年後にモテ期が来るらしいのでしばらくは充電期間と納得したら結構平気ですよ。デートに当てた時間やお金を自分の為に使える素敵な神様からの贈り物とポジティブに捉えてます。
 悪い事ばかりでは絶対無いから大丈夫☆晴れのち曇り、時々冷夏もあれば猛暑もある!
 アホなコメントでごめんしてくださいね。


投稿者: みーこ | 2009年09月25日 20:54

 和田さん、済みません、失礼します。

 みーこさんへ

 私へのコメント本当に有難うございます。今、結構…私にしては珍しくへこんでいます。でも、彼もケアマネに合格することを望んでいますし…、やるしかないな…と思っています。
  「悪い事ばかりでは絶対無いから大丈夫☆晴れのち曇り、時々冷夏もあれば猛暑もある!」有難うございます。とても励まされます。
 今、正直…逃げ出したい気持ちも少しありますが、どうやらそれも許されないようです。
 やるしかない…頑張ります!!!


投稿者: 寺内 美枝子 | 2009年09月25日 23:37

 和田さんが例示したように、パチンコによる刺激だけに反応する人もいるかもしれない。他のことが考えられず、たとえばサラ金から借りてパチンコにつぎ込むなど生活が破綻するなら、それはアル中と同様なので、パチンコ自体をやめるしかないだろう。
 ただ、人間にとっては「刺激」も「回避」も欠かせないものだ。家庭・仕事・地域・趣味など、様々な側面を豊かに生きるため、ある時は「刺激」を味わったり、何かを意図的に「回避」したり…
 時にイライラしながらも、揺れる自分を意識して、バランスを取り戻そうとするなら、それは健全な心の働きだと思うのです。


投稿者: あが | 2009年09月26日 07:21

 和田さんも、みなさんも広い視点を持ってみませんか?
 相手と自分の立ち位置を替えてみると見えて来るものがあるようです。


投稿者: mako | 2009年09月26日 16:27

あがさんへ

 その通りですよね。僕もそう思います。


投稿者: わだゆきお | 2009年09月26日 18:56

makoさんへ

 広い視点のことをもっと語っていただけないでしょうか。


投稿者: わだゆきお | 2009年10月02日 21:33

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち97年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会代表としても活躍。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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