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和田行男の「婆さんとともに」

あらためて

 僕が支援者として目指すべき「支援を受ける者の生きる姿」は、特養で生きる人の姿ではなく、グループホームで生きる人の姿でもなく、自宅で生きる人の姿でもない。
 つまり生きる場所がどこであれ、人間として、この国の民として生きる姿を目指してきたし、目指していく。
 それが僕の専門性の追求であり、社会の到達点(制度など)に翻弄されない「軸」である。

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 この世に誕生したとき、「自分の意思を行動に移し、やり遂げられる人」はいません。また、自分の意思を伝える手段はごく限られていました。
 両親はその子を育むにあたって、どんな姿を目指すでしょうか。
 ブランド物をまとい、超高級自動車を乗り回し、グルメ三昧の人を目指すでしょうか。もちろんそんなことを描く親もいるでしょうが、その親だってそのための基本を大切にするでしょう。
 「自分のことが自分でできる」
 「人と人が互いの関係を織りなし」
 「社会とつながって生きる姿」
 「自分の意思を行動に移すことができ、やり遂げられる姿」を目指しませんか。
 だから、見て聞いて感じて・喜怒哀楽を表すようになると喜び、ハイハイができ歩けるようになると喜び、できなかったことやわからなかったことができるようになりわかるようになると喜びます。
 子どもが自立した日常生活を営むことができるよう、自分でごはんが食べられるように、トイレで排泄できるように、読み書きできるように、社会に出て生きていけるように応援するではありませんか。
 それはどこの行政区であろうが、山村であろうが漁村であろうが農村であろうが限界集落であろうが大都会であろうが、自宅であろうが施設であろうが、実の親であろうが育ての親であろうが施設の職員であろうが、それを「ふつうのこと」として子を育みませんか。
 その姿が「この国で一般的な人が生きる姿」だとしたら、たとえ障害をもって産まれその姿にまで辿りつけなくても、たとえ障害をもってその姿を継続できなくなっても、そのことを尊重すること、それが「人として生きることを支える」ということではないでしょうか。
 あらためて僕らの世界(介護業界とでも言いましょうか)における支援を考えると、どこでも目指すべき人が生きる姿は同じなはずなのに、同じと思えないところに、この国の貧しさ専門性の低さがあるように思います。
 何度も書きましたが「有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」と明記されたこの国の支援の理念とも言うべき文言が、どこでも実践的に貫かれるようにしたいものです。この国が掲げる理念まで制度も専門性も引き上げなければなりません。
 そのためには、ステージはどこであろうが、目の前にいる人々に向かってその姿を掲げて一生懸命取り組むこと、矛盾を解き明かすこと、それを社会に投げかけること、そのための仲間をひとりでも多くつくること。
 嘆いているだけでは動かない、情緒的な言葉を吐くだけでは響かない、学問を積むだけでは変えられないでしょう。
 僕はここ最近いただいた皆さんのコメントを読ませていただき、あらためて思い返すこと、あらためて考えることの機会を得ました。ありがとね。

重ねてのご案内
 和田の仲間たちが取り組んでいます。ひとりでも多くの人に広めてくだされば幸いです。

認知症講座「夢の架け橋」
□第一部「レビー小体型認知症を知っていますか?」
ナビゲーター
 橋 幸夫(宇宙人からの贈り物 著者)
 宮田真由美(レビー小体型認知症家族を支える会会長)
講演者
 小阪憲司(横浜市立大学名誉教授 精神科医)
 岩田 誠(東京女子医科大学名誉教授 脳神経内科医)
 羽田野政治(横浜福祉研究所認知症高齢者研究室主幹)
 グスタフ・ストランデル(元スウェーデン福祉研究所主幹)
特別ゲスト
 渡邉美樹(ワタミ株式会社代表取締役会長)
□第二部「母を恋うる歌」
 橋 幸男(歌手)
○主催「レビー小体型認知症家族を支える会」
○開催 神奈川県民ホール 9月9日18時開演
○今後の予定
 名古屋市公会堂 11月26日
 福岡市民会館 1月19日
○問い合わせ「夢の架け橋」事務局
 03-5821-0369(平日 10時~18時)
○チケット料金
 一般:5000円 会員:3000円
○チケット取り扱い
 神奈川県民ホールチケットセンター
 音楽堂チケットセンター
 チケットぴあ
 ローソンチケット
 イープラス


コメント


 和田さん、皆さん、こんばんは。
 和田さん、かゆしさん、本当に有難うございます。私、弱虫ですが、頑張ります。元気出します。
 今回のブログを読み…そうなんだ…、それでいいんだ…と思いました。
 『その姿が「この国で一般的な人が生きる姿」だとしたら、たとえ障害をもって産まれその姿にまで辿りつけなくても、たとえ障害をもってその姿を継続できなくなっても、そのことを尊重すること、それが「人として生きることを支える」ということではないでしょうか。』とても素晴らしいです。障がいをもっていようといなかろうと、その人を尊重して人として生きることを支える…。出来る限り、支援してみます。
 『そのためには、ステージはどこであろうが、目の前にいる人々に向かってその姿を掲げて一生懸命取り組むこと、矛盾を解き明かすこと、それを社会に投げかけること、そのための仲間をひとりでも多くつくること。』私に一番苦手なのは仲間を一人でも多く作ることです。でも、頑張ってみようと思います。
 『いまそこに支援を待っている必要としている人がいて、そこに求められているのなら、並大抵の試練があるかも知れませんが、かかわっていたいと思っています。』そうですよねっ!支援を待っている人がいるんですものね・・、行って頑張んなきゃですよねっ♪。
 『その場所その場所で学ぶことは多く、かかわるスタッフどうしでの切磋琢磨も多いと思います。活き活きとした表情になることにほんのちょっとでも自分が接することができたら…。』確かに大変かもしれません、でも、御爺さん、御婆さんの活き活きした姿を見れるんだったら、なんだって頑張れちゃいそうですよねっ♪。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2009年08月10日 18:18

今日は宇治の花火大会でした。花火の打ち上げの音だけ楽しみました。例年通り仕事中なので。
和田さんの最後の一言…きくーう。情緒的な言葉を吐くだけでは響かない、学問を積むだけでは変えられない…胸にドシッときました。
専門性という言葉の幅の広さ、曖昧さ、そこに日々の悩みの種があります。みんな同じものを目指しているはずなのに…懐の深さ、一人ひとりにあると少しはうまくいくのかなあ。今日、一人の利用者様をグループホームへ送り出しました。小規模多機能型の限界…でも私は胸を張ってお別れを言えました。みんな頑張りました。いつしか利用者様が仲間の一人になっていたから。ありがとう、みんな。ありがとう、Mさん。


投稿者: 松本珠美 | 2009年08月11日 01:40

 私も自分を振り返る良い機会をいただきました。目指すものが何か、を再確認できたように思います。
 和田さんの声が今にも聞こえてきそうな言葉でした。ありがとうございました。


投稿者: sakura | 2009年08月11日 19:43

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち97年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会代表としても活躍。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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タイトル:『認知症になる僕たちへ』
著者:和田行男
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