ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
和田行男の「婆さんとともに」

おとな

 学生の頃から「大人」になることを拒んでいた。「大人になんかなりたくない」と思ってずっと生きてきた気がする。
 なぜ、あんなに大人になることを拒んでいたのかは明白で、親も含めて周りの大人たちを見てきたからに他ならない。

続きを読む

 つい最近のこと、何かのきっかけでふと目にとまった文章があった。中央教育審議会答申の文章で、こう書いてあった。

 わが子にとって大事なこと、それは、将来の「自立と自己実現」を成し遂げ、どんな時代が来ても生き生きとした、すばらしい人生を送ることができるために、子ども時代に「生きる力」を身につけておくことです。

 「生きる力」とは
 ■自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく課題を解決する能力
 ■自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きるための健康・体力

 ここでいう「生きる力」を身につけた者が大人ということになるとしたら、自ら課題をみつけようとする意欲もなく課題化できる能力もなく、学ぶこともなく考えることもなく、他人に依拠するだけ、他人の指示待ち、決めごとがないと動こうとしない・動けない、自ら解決に向けて考えようとも動こうともせず何事も他人の責任にし、ルールは守らない、自分よがり、他人を蔭口で叩き、他人を蹴落とすことはあっても他人が困っていることには目をつぶる。堂々とエッチもするし、化粧もするし、お酒も飲めば煙草も吸う。結婚をして子どもを育てて、会社に通って。どこからみても「大人びたおとな」はいっぱいいるが、その大人たちが「生きる力を身につけた者」と言えるかどうか。
 もう一度自分を見つめなおし、ここでいう「生きる力を身につけた者=おとな」にならなければならないと思った。

 いくつになっても自分にとって大事なこと、それは限りある時間のなかで「自立と自己実現」を追求し続け、どんな困難があっても逃げだすことなく、すばらしい人生と胸を張って言える時間(とき)を過ごすことができるために、最期まで「生きる力」を身につけようと尽力努力することです。

 吸い込まれるように手にして読んだ文章に、そう語られた。


コメント


 和田さん、皆さん、こんばんは。

 私は、あの時…介護の世界で自分のやりたい事が見つからずに迷っていたんだと思います。そして、そこで和田さんにお逢いした。そして、それからというもの、色々なものを追い求めてきました。こんなふうな介護があるんだと…私の進むべき道が見えてきました。
 今日、会社から異動を伝えられました。私の心は、NOでした。「そのときは、退社します」と伝えました。断腸の思いでした。
 人がこんな私を見たらばかに映るかもしれません。でも、私は、グループホームがやりたいです。
 私は、良いのか悪いのか…意志が強く…生き抜く力も人一倍です。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2009年08月04日 20:23

 私は家庭事情で、こどもの頃から大人の役割をしていた。年を重ねる中で爆発し、自分の感情がコントロールできない時期もあった。
 幸い今は自分の事が好き、思った事も言えるようになった。出会った人や物、景色や音楽等たくさんの関わりのおかげと感じている。感謝。
 最近喋ると年寄りかと言われる事もある。確かに昔、お寺のおっ様が言っていた事をしゃべっていたり。
 大事な人をみおくったばあちゃま。宗教の関わりで、地獄に落ちると言われて泣いている。
 大事な私の友人も、仕事も辞めて宗教の勧誘に走っている。彼女も地獄に落ちると言う。
 年の数だけが一人前の大人にはなりたくない。スルメや干し椎茸みたいな地味でも味のある人になりたい。


投稿者: まんまる | 2009年08月04日 23:02

 わが身を振り返ると、学校では自分で考える前に、誰かが決めた「正解」を早く見つけ出すことが良いことだと「学習」してきた。就職してからも、与えられた指示や課題に沿って速やかに「結果」を出すことに精を出してきた。
 和田さんの意見とは違うかも知れないが、「自分」をあまり考えない方が、特に日本の社会で生きる上では「楽」なことが多いと僕は思う。
 僕の場合、結婚で母親と衝突してから、他人の期待ではなく誰かが決めた「正解」でもなく、自分なりの「納得」が大事だと考え始めた。僕が本当の「大人」になったのは、この時からだ。
 「生きる力」は、むしろ中途半端な大人の自分を問い直す中から、育てていくもののような気もする。


投稿者: あが | 2009年08月05日 07:25

 私が子供だった頃は、今のようにものが揃っていなかったので、必然的に自分で考える機会があたわっていたように思います。
 遊びも道具のない中、歩いているだけで想像力(創造力?)がはたらいて、落ちているものさえも宝のように思えた頃が懐かしいです。一人ではできない遊びが多かったですし、そこでちゃんと社会性や関係性という学びを自然と得ることができたのかもしれませんね。
 産まれたときに、そこにある環境が大人になったときにその人格に影響することは多くあると思います。
 考える前に与えられることで、考える機会を奪われてしまう、自己とは?自分は何をしたいのかさえも見えなくなってしまう子供たちや若者が、とても不幸だなって思います。
 気力や意欲がない生活ほど、苦痛です。私の思い込みですが、今は違うのでしょうかね。
 今関わっている入居者の方にも同じように考える機会を奪わないことが大切と思っています。
 支援がないときはこの方はどうするんだろう、と少し後ろで見ていると、様々な工夫やひらめきや学習能力がはたらいていることを目にします。
 何かをしたい意欲を見たとき、私たちの意義を感じます。よかったって思います。
 自分も何かをしたいとき、元気ですもんね。
 したいことがあって、そこに進めることの幸せを感じます。


投稿者: sakura | 2009年08月06日 01:20

 和田さん、済みませんが、ブログをお借りします。
 sakuraさん、そうなんですよね…、私も子供の頃、道で拾った碧い透き通った石が宝物でした。他にも色々なところで拾ったものを大切にしていました。
 今回、退職をする事を考えましたが、現在、教習所に通い…大学の通信教育で勉強中…お金もかかる…歳老いた両親に負担を掛けたくない。という事で自分で悩んでいました。
 上司からも「行ってみて無駄な事は一個もないから、勉強になるから…」と説得を受け、会社の介護福祉士の加算の事も絡み、特別養護老人ホームに異動を決めました。
 sakuraさんの言葉「気力や意欲がない生活ほど、苦痛です。私の思い込みですが、今は違うのでしょうかね。自分も何かをしたいとき、元気ですもんね。したいことがあって、そこに進めることの幸せを感じます。」
 私、元気がありません…。ケアマネの勉強も大学の勉強もやる気がなく…支援も判断を誤りとても反省しています。sakuraさんの言葉、心では解っています。でも、どうにも出来ない自分がいます。それでも時は待ってはくれない…これから通信教育の勉強をします。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2009年08月06日 09:01

 私が言うのも大変失礼ですが、どこにいるから良い仕事ができる、なんてことではなくて、一人と向き合う姿勢が自分の仕事の価値を生んで、良い結果に繋がるのではと思います。
 本に書かれているようなことをそのままやっても、必ずしもその人にとって良いケアとは言えませんし、いかに本気でその人にかかわるかで、学びはあっても失敗ではないと思います。
 他人の言葉からではなく、自分の経験からしか学べないと最近は思います。
 願いは、不本意なことと思ってかかわってほしくないです。お互がいつらいと思います。
 1つ1つ目の前のことをクリアしていけるといいですね。
 人のことは言えないですが、寺内さんのコメントが少し悲しいなぁと思い、見ています。一人でも笑って暮らせる入居者が増えることを祈ってます。
 お互い頑張りましょう。


投稿者: sakura | 2009年08月07日 22:47

 和田さん、ブログ…お借りします。
 sakuraさん、御言葉…本当に有難うございます。私…反省して、次に結び付けています。落ち込んでいる時間がないのは非常に辛いことですが、へこたれている時間もなく…反省して次に結び付ける。そんな日々を過ごしています。
 「不本意なことと思ってかかわってほしくないです。」今の私…正直、辛いですが…寝たきりの方や自由に動けない方など、もっと私以上に辛い方は沢山いると思っています。私のことなんて大した事ないと思います。今の私に、何が出来るか…きっと、何か出来ることがあると思います。
 「他人の言葉からではなく、自分の経験からしか学べないと最近は思います。」今回の事で今まで異動で苦しかった人の気持ちがよく解りました…。グループホームの将来に希望を持ち毎日、ともに暮らしてきて…ここで、他に異動する事…非常に辛いですが・・でも、出来るだけのことを行っていこうと思っています。
 励ましの御言葉、本当に有難うございます。私、負けません…。

 みっちゃんさんへ
 御元気ですか?今回、自分が異動になり…みっちゃんさんのあの時の辛さ…少し解りました。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2009年08月09日 09:08

 私たちがかかわっている利用者の皆さんは、大人の中の大人です。しかも、教科書で学んできた人は少なく、身をもって経験をして、苦労して学んできた人が多くいるのだとおもいます。
 グループホームがやりたい、小規模な施設で働きたいという希望を持っている人は少なくない。でも、いまそこに支援を待っている必要としている人がいて、そこに求められているのなら、並大抵の試練があるかも知れませんが、かかわっていたいと思っています。
 その場所その場所で学ぶことは多く、かかわるスタッフどうしでの切磋琢磨も多いと思います。
 活き活きとした表情になることにほんのちょっとでも自分が接することができたら…。
 文章がまとまらず…。すみません。


投稿者: かゆし | 2009年08月09日 20:09

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち97年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会代表としても活躍。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

【ブログ発!書籍のご案内】
和田行男さんのブログ「婆さんとともに」をまとめた書籍が刊行されました。
タイトル:『認知症になる僕たちへ』
著者:和田行男
定価:¥1,470(税込)
発行:中央法規
ご注文はe-booksから
wadaprof2.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books