09みちなかば
2009年も半分が終わろうとしている。
この半年、あちこちで出会った半端な話の一端をご披露したい。
万全の対策…もれ?
今年上半期ニュースで断トツは新型インフルエンザではないか。そのインフルエンザに絡むはなし。
『グループホームの入居者たちと有名場所へアジサイ見学に出かけた時、ある御一行様も来ていた。お揃いの服にお揃いのエプロン、手には車いす、車いすにはじいさんばあさん。そう、どこかの特別養護老人ホームの御一行様だったようだが、お揃いの格好できめた職員は全員マスク着用。どう思いますか。』
写真を送ってもらったが、何とも言えない一種異様な光景であり、角度をかえて眺めるとサリン事件かと勘違いするほど。そこまでインフルエンザを警戒するなら、高齢者にとっては人の多い場所への外出を控えるほうが賢明であり、最初に打つ手だと思うのだが…。
研修は金成り
研修で講師をしているほどの経営者の下で働いている人が、その経営者に「研修を受けさせてほしい」と嘆願しても「行かなくて良い」とずっと言われてきた。ところが研修履修者が報酬の加算対象になった途端に「行け」だって。
研修に行く前に退職しようかと思うと話してくれた。確かに…。
津々浦々婆さん語り
特別養護老人ホームで長年働いていた人がグループホームの管理者として転職して驚いたことのひとつが「グループホームで働いている人の集まりに出かけると、自分の給料など待遇に関する話なんてちっともなく、婆さん支援の話ばっかり」ということだって。
確かに東京でもそうだが、事業者団体の集まりには経営者も管理者も一般職員も参加しており、みんながいっしょくちゃになって「支援」や「認知症」について語り合っている。それが全国的ならステキなことやんなぁ…。
でもある場面では、待遇等の改善策について真剣に語り合っているんですがね。
棄権人物
いまだに、介護保険事業である通所介護で「事業所から外へ利用者を出すな!」という行政があるとのこと。出して良いのは、年間行事で決めた時だけだって。デイに来る人は、その時だけは条件として「国民のもつ権利は放棄した者」ということなのかね。全国すべての行政マンが同じように考えて閉じ込めさせているのならまだしも、人権を語り護る側の専門職としてひど過ぎやしないか。
でも、それを素直に聞き入れているだけの事業者もプランニングしている介護支援専門員も、専門職としてどうなのかねェ。行政マンだけを責められないようにも思うが…。
壊れた脳を洗脳
新しい利用者が来て「家に帰ります」とでも言おうものなら「あなたの帰る家はないのよ」と毎日毎日本人に言い聞かせ、あきらめさせるようにと上司から指導されています。それが本人にとっていい、それがいいグループホームだと聞かされています。
グループホームで働く人から聞いた嘘みたいな話だが、もし本当だとしたら恐ろしい。婆さんは脳が壊れて憶えられないから、身体で覚えこませるということなのかねェ。同じことを繰り返し繰り返し言えば憶える能力はまだあるという「人間の能力への信頼」ということなのかねェ。
それにしても「こうしなさい」・「ハイ」と疑問をもたない職員を育んでいるのには驚き。この上司は、婆さんに対しても職員に対しても一貫して「思い込ませる」やり方なのかも。
僕は「こういう時はこうする」と人間をある枠組みの中に押し込めて思考させるやり方に未来はないと確信しているが、昔の人は「他人のふり見てわがふり直せ」とええこと言ってくれた。自分のところでも「上司和田」はそうなっていないかチェックしんとな。
ひんかく
東京の仲間から面白い話を聞いた。
特別養護老人ホームからグループホームに移って初めて事業者団体の集まりに出たら、その代表者である和田は、ジーパンにTシャツに雪駄履き。次に研修を受けた都内のグループホーム管理者も同じような格好に雪駄履き。その次に会った管理者も雪駄履き。
グループホームの管理者はみんな雪駄履きなんだと思っていた矢先に、同一敷地内のデイサービスで管理者を兼務しているので、そちらの管理者の集まりに出ると、全員スーツ姿。「これってなんなんやろ」と考え込んでしまったとのこと。
ちなみに彼は、いつも僕と同じような格好にスニーカーを履いてる。考えた末の結論が出たようだが、ひんかくが下がったのかなぁ…。
間接語
「最近の和田ブログには婆さんとのリアルな話が出てこない」と言われた。本人は十二分に承知しており、それには和田なりの理由がある。
ひとつは「リアルな場面がない」ということ。つまり和田が婆さんと直接的にかかわっていないということだ。でもそんなことをひた隠して読んでくれている人々に「和田は婆さんとよくかかわっているかのように思わせること」は簡単にできるから、第一の理由ではない。
一番の理由は、直接的なことはブログでなくても研修会や新聞雑誌等で喋れるし、書く機会があるため、ブログでは直接的なことではなく間接的なことから「婆さん生きること支援と支援策」について感じ取ってもらえるように伝えていきたいと思っているからだ。雑誌『りんくる』(中央法規刊。現在休刊)で専門職Q&Aの連載をさせてもらい、読売新聞で市民向けに連載を書かせてもらえるようになってから、自分のなかでこのブログの位置づけをそのように決めた。
全国各地に、婆さんのことを真剣に考え「人間として生きること」に取り組んでいる仲間がいる。そんな仲間から伝え聞いたことや感じたことを「和田風」にアレンジさせてもらって、和田が責任とれる形で発信させてもらっているのだが、僕的には今の感じが気に入っている。ダメやろか。
緊張二乗花
ある会が企画され、そこで「喋って余興をするよう」に依頼された。
そのことを考えれば考えるほど緊張度が増してきたので、中心人物に「辞退したい」と伝えると、「自分も大役を任されて緊張しまくっているので気持ちはわかる。自分が庭先の花でつくったオブジェを見て緊張をほぐしなさい」と送ってくれたのがこの写真。
キレイと思うよりも「あの人にこんな技が…しかも緊張している最中にこの余裕」というのが先にたって、前にも増して緊張が高まってしまった。
きっと僕の「重度緊張症候群」を知らないんやろな…でも、ありがとね。でも、辞退させてね。内緒で写真を出してごめんなさい。
コメント
今回は、日本特有の「決まり事」が問題になっているのかな、と思う。マスクも研修も利用者対応も服装も…揃わなくても合わなくても、構わないことばかりだよね?!
実際、合わせなくても実害はないのに、「空気」や「決まり事」が気になり始めると、周りと違うこと自体を気にするのが、福祉の現場に限らず、日本人共通の意識かも知れない。
みんな、勇気を出して「KY(空気読めない)」をやって見たらどうだろう? 意外に同調してくれる人が多いかも知れない。いや、僕の経験だと、現状に納得していない人の方が多数派だった。
もう少し、身の回りの「決まり事」について、考え直し・問い直しを試みてみようよ。
和田さん、皆さん、おはようございます。
私は、常識なんてくそ食らえと思っている反面…御利用者という言葉を使っているし、そして、利用者様と使えない自分の矛盾に悩んでもいます。
「御利用者」と使っているのは、尊敬したいという意からです。しかし、そうすることが本当によいのかは悩んでいます。
今、新しく行っているグループホームにて、エプロンをしなければならない矛盾…とても嫌です。私は、家庭的な雰囲気にエプロンをする必要性を感じません。でも、リーダーと話し合った結果、周りの人のことを考えてのエプロンになりました。
排泄介助があるからエプロンをしてという先輩にも、納得がいくような、いかないような…、それをして食事をしたり他のことをするのは良いのでしょうか? 今は黙っていますが、エプロン一つとっても矛盾だらけです。
そして、今は、自分の意見を押し付けるのではなく…周りの人を愛していきたいと…想って生きたいと思うようにしています。否定からは何も始まらないと思うからです。
私は、普通に生きて…周りからはみ出るタイプなので…腰を痛めたときに事務員とかチャレンジしたけれど合わないし、会社からも退社をすすめられました。(苦笑)それで、介護が今、大変なことになっていると友人から戻るようにすすめられ、そこの職場の研修でお逢いしたのが和田行男さんでした。
和田さんにお逢いしていなければ、私の進むべき道は無かった…見つからなかったのではないかとさえ思ってしまいます。
和田さん、いつも済みませんが、ブログをお借りします。失礼します。
あがさん、御言葉…本当に有難うございます。私が言うのも変ですが…励まされました…このままでいいんだと…。
私は、人が人を想う気持ちが大好きです。その反面、何かをする時に常識だからとか周りがそうだからとか言われると…だからなんなの??と思ってしまいます。その影に相手を想う気持ちが見え隠れしていれば…本当に嬉しく思い行ってしまう私ですが…(笑)
あがさんへ
なるほど!「決まり事」が共通していると言えば共通していますね。いつもいつも、補っていただきありがとうございます。直感・直観人間の僕にとってはとても大事な「補」です。
僕としてはお役人には「空気読めよ!国民の、専門職の風を」と思うのでありますが、確かに逆もありで「空気を読んで行動するなよ」も大事ですね。和田なんてダントツにそっちかも。
あるコミュニティーサイトの介護業界コミュニティを覗くと、お宅の給与はいくら?ボーナスは出るの?と施設の品評会をしている。
地域、学歴、経験、資格、事業所内容や法人規模によって差があるので比較しても意味ないですね。
何処の経営者も業界の職員を会合に出して、他の施設の給与や待遇と比較されて、人材流出されたら困るから「会合に出るな!」なんて言うのだろうが…。
和田さんの場合、「空気読めない」どころではない。発言のインパクト一発で、場の空気を根こそぎ変えてしまうよね。
でも和田さんが「空気を読んで行動するなよも大事」と言ってくれたとおり、「空気」を疑う・問い直すことをもっと多くの人に意識して欲しい。もちろんその時に、「空気」を疑わない周囲の人を上手に仲間にしないと、孤立して辛い思いをする。粘りと工夫が必要だと思う。
寺内さんも、焦らずじっくり取り組んでみられてはいかがでしょうか?
ところで「御利用者」あるいは「利用者様」とか、医療の世界では「患者様」とか、呼び方の問題だけど、僕は昔から一律の呼称そのものが嫌いだ。
実は和田さんの言う「ばあさん」も好きじゃないので、自分では絶対に使わない。僕はそれぞれの人の名前で呼びたいし、自分については「あがさん」と呼ばれたい。
こういう感覚の違い・意見の違いがあることを認めたいし、認めて欲しいと思う。お互いの「違い」を認め合えたら、変な「常識」や「当たり前」が横行することも少なくなるだろう。
久しぶりの雨で、やっと梅雨らしくなりました。
私は、介護療養型施設で働いています。最近、医療職との考え方に疑問をいだいています。どうしても、医療優先で介護がそのあとで…
介護職は、ただ毎日清拭や入浴、食事介助、オムツ交換の毎日で…寝たきりでも、車いすでも認知症でももっと生活に視点をおいて欲しいときもあるのですが。
勉強会なども、有給をつかって出来るだけ行っています。医療職にもその報告もしていますが、その時だけ…ケアマネジャーも兼務でしていますが、プランをたてるのも大変です。
どこでもそうでは無いと思いますが、これでいいのかと、最近ちょっと思い悩んでいます。
ガーデニングでストレス、発散しています。
写真の花、ステキですね。
和田さん、ブログをお借りします。失礼します。
あがさん、御助言有難うございます。人はそれぞれなんだと…とても参考になりました。
今…ホームで色々と悩みはありますが、悩んで良いんだと思っています。その中で少しずつでも変わってきたことを実感しています。
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