スタッフのQOL
中小の介護事業所の創業者の中には、介護職出身の経営者も珍しくありません。自分の想いを形に!ということで起業する。私もその一人です。
私の起業のきっかけは3つありました。1つ目は、待遇への不満。2つ目は、将来への不安。3つ目は、理想のチームを創るためです。
特に介護職出身で起業した人は、利用者第一の想いで経営しています。しかし、その想いが強すぎるために、経営が苦しくなっているという場合もあります。
デイサービスでは、利用者に細かなサービスを提供するために人員配置を厚くして、その結果、余暇人員の人件費が高騰して赤字になります。訪問介護では、すべて利用者の希望する時間にサービスに入る、また、10分でも利用者の希望する開始時間に合わせるなど、効率の悪いシフトになってしまいます。
利用者本位、利用者第一というのは当然です。ただ、事業者としても応えられる範囲に限界があります。そのしわ寄せは誰に来るのでしょうか? 経営者にも来ますが、働くスタッフにも大きく影響を及ぼします。
利用者のために行っていることが、結果としてスタッフのためになっていないこともあります。スタッフにも自分の生活があります。食べたいもの、欲しいもの、行きたいところ等、自己のQOLの向上もあります。介護職出身者の経営者は、利用者のQOLには目を向けますしかし、スタッフのQOLには目を向ける比重が少ないのではないでしょうか。
大切なのは、バランスです。自己の想いを体現させるためにスタッフの生活を犠牲にしては、意味がありません。かといって、売上重視の仕事でもありません。しっかりと損益分岐の数字、一人あたりの費用対効果、売上を重視することが必要です。
そういったバランス感覚をもつためには、介護の知識、介護技術の勉強だけでは不十分です。経営者だけでなく、現場の介護スタッフにも同様な視点だと感じます。経営視点が狭いがゆえに、利益が出ないことを介護給付のせいにしている節があります。
スタッフにとってのモチベーションは、利用者の笑顔やいただく言葉です。しかし、続けていくためには自己のQOLの向上も必要です。私がセミナーを行う目的は、そういった視点の一助になればという思いがあります。
経営とは簡単なことだ。売上を最大限に増やし、
経費を最小限に抑えることによって、 利益を最大にするという、
最もシンプルな原則に基づいて事業を経営することだ。
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