誰でもいい
現在、岩手県長寿社会課より依頼を受けて、1年間のコンサルティングを行っています。その関連で、社会福祉法人、民間、NPOなどの介護事業の経営者、管理者から相談を受けることが多くあります。内容のほとんどは、人材不足についてです。これは介護職に限らず、多くの業種にいえることです。
日本の労働人口は減少し、人材が不足するのはやむを得ないのが現状です。だからといって、介護職が不人気だから仕方ないというのは、経営者の怠慢です。
人材が不足しているという相談の中で、明確になっていないことがあまりにも多くあります。たとえば、必要な人数、採用したい人材の年齢層、性別・経験年数などです。要は、資格をもっていれば誰でもいいから採用したい状況といえます。
現状が厳しいこともありますが、誰でもいいから採用するというスタンスには寂しさを感じます。
経営上、人員を確保し事業を行うことは必要不可欠です。しかし、経営者層が「誰でもいいから」「資格さえもっていればいい」というスタンスでは、人材不足は緩和されません。そればかりか、介護職離れが加速するのではないかと感じます。
人は誰でも自分自身が大事な存在です。
「あなたと同じ想いをもっている人材が必要だから一緒に頑張ろう!」
「あなたは資格をもっている人材だから一緒に頑張ろう!」
この2つ、どちらがよいのでしょうか? 苦労して思い入れをもって取得した資格なので、評価されることは嬉しいことです。資格を取得するほどの思い入れを評価してほしいものです。しかし、資格だけに特化した評価になると、資格者であれば誰でもOK、別にあなたでなくても資格がある人であればOKということになります。
現状の介護業界では、要件基準のため、どうしても資格優先に見てしまいます。これでは、自分自身が大切にされていないと感じてしまうでしょう。
介護職自身も、資格や技術、知識の取得ばかりのスキルアップに特化しすぎるのではなく、経営視点をもつことも重要です。
経営者、管理者の意識の変革も求められます。リーダーが意識を高くもつことで、現場の職員にも伝達します。誰でもいいから採用したいと平気で言う経営者は、自社の職員に対しても、資格があればあなたでなくてもいいと言っているのと同じです。
まずは自社の理想の職員像を明確にもつことが必要です。経営者としてのこだわり、想いを出せば、どんな人材が必要なのかがみえやすいと思います。
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