こだわること
先日、熊本県で開催されたセミナーに講師として呼ばれました。数年ぶりの熊本ということもあり、とても楽しみにしていました。セミナーの主催者は、群馬県水上町で自らもデイサービスを経営し、今年から介護コンサルティングも始めた有限会社遊人舎の室橋社長でした。水上町は過疎化が進む地域ですが、若い人材を都市部からも採用し、テレビからも取材を受けたこともあります。
セミナーの内容は、介護事業所のブランド力向上と、人材確保と採用に関するものです。地方都市においても、差別化しブランド力をもつことで、利用者から選択される事業所になることを実感しました。
人口が少ないから稼働率が上がらないというのが一番の原因ではなく、「どのようなこだわりをもつのか」が重要です。そして、その「こだわり」を広く周知していくことが必要になります。
「こだわり」が知られなければ、新規の申し込みにはつながりません。「こだわり」を知ってもらうためには、紙媒体でお知らせのPOPを作成・配布したり、ブログで積極的に周知するなど、地域によって打つ手は変わります。
それでは、「こだわり」の構築はどうすればよいのでしょうか。はやりだから行うのではなく、「自分たちがこだわりに対して共感し、楽しめる、ワクワクできるか」です。
稼働率向上のために、無理やり作成した「こだわり」は、自社に合っているとは限りません。その相性を図るのが「ワクワク感」です。
自分たちが提供するサービスにこだわりをもつことができれば、自ずと説明もしやすくなり、「こういった人に合うサービス」だと説明もできます。遊人舎では、自家製農園というこだわりをもっています。地域的に農地が借りやすいということもあります。重要なのは、室橋社長をはじめスタッフが楽しんで、利用者とともに野菜作りを行っていることです。
利用者にサービスを提供するだけでなく、農作物の作り方などを利用者から学ぶ目的も大きな要因です。スタッフも、喜んで野菜の手入れなどをする利用者とかかわり、楽しくなります。利用者も、スタッフに自分の知恵、経験を伝えることが喜びになっています。
そうした農園付きのデイサービスがはやったり注目されると、「ニーズがあるから当社も行おう」と思う事業所も出てきます。
しかし、うまくいかない場合もあります。それは「こだわり」が欠けていることが多いからです。自社に合ったものでないと「こだわり」はもちにくいものです。「こだわり」があることでサービスへの思い入れも強くなり、楽しむことができます。
デイサービスが特色をもつためには、地域を見て、自分たちが「こだわり」を感じていけることは何かを考えていくことが大切です。
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。