機能訓練とリハビリの違い
去る11月16日から17日にかけて、当社が主催する「介護サービス創造研究会」のメンバーと、長崎の事業所を見学にいきました。有料老人ホーム、機能訓練特化型デイサービス、小規模多機能施設など、すばらしい取り組みをしている事業所を見学でき、充実した時間でした。
そのなかの一つ、機能訓練特化型のデイサービスを見学した際、スタッフに「このデイサービスのコンセプトや売りは何ですか?」と質問すると、「リハビリを行うことです」という返事が返ってきまいた。
スタッフが伝えようとしていることは理解できますが、「リハビリ」という言葉を用いることに私は疑問を感じました。
笑う介護士として有名な袖山さんとの共著『人が集まり 喜ばれる デイサービス開業 運営のしかた』では、次のように書いています。
「リハビリとは、機能の回復を目指して実践される総合的な治癒的訓練のことだといえます。これはもちろん、医療専門職の独占領域であって、法律的にも介護士が実践し得る範疇ではありません」(同書212頁、「機能訓練とリハビリの違い」
昨今のデイサービスの事業所の増加、競争の激化に伴い、利用者確保ありきのサービス構築が目立ってきているように感じます。特に多くなっているのが、機能訓練特化型や、自費の宿泊を提供するデイサービスのです。経験の少ない事業者が「リハビリ」「宿泊」というサービスを導入することに違和感を感じることもあります。
なぜデイサービスの活動に機能訓練を用いたのか、どのような動機で「リハビリ」と付けているのでしょうか。名称を「リハビリ」として、機能訓練器具を入れれば、それだけで「リハビリ」でしょうか。当初「リハビリデイサービス」というコンセプトでサービスを開始した事業所の意図とは変わっているように思えてなりません。
宿泊も同様で「なぜ、デイサービスで宿泊を付けたのか」という真意を考えていくべきだと感じます。そうすることで、本当の意味での利用者・家族のためになるはずです。
昨今は利用者確保が優先しすぎている現状で、安易に「リハビリ」「お泊り」を行っていることがあります。経営上、ニーズの高いサービスを取り入れることは大切です。しかし、そのサービスを行う軸をもっていないと、一時しのぎのサービスになってしまうと感じます。
利用者に好評のウォーターベット
ベットで寝た視線に合わせた格言など
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。