転倒? 虐待?
デイサービスや訪問介護などのサービス提供時、利用者の顔や身体にけががある場合があります。自宅での転倒だった場合は、どのような状況でそうなったのかを把握しますが、意思の疎通が困難な場合は把握することが難しいです。
利用者自身がトイレに移動する際や立ち上がり時の転倒であれば、居室の動線を整えたり、手すりや補助具など環境を整備することで再発を防止します。しかしそれが、家族の虐待による場合は対応が難しくなります。
まず、虐待かどうかをどこで判断するのかです。一生懸命家庭で介護を行っていて、ちょっとした転倒等でけがを負ってしまう。すると、すぐに虐待かと疑いをかけられることは、家族にとっても大きなショックを与えることになります。家族にとっては、利用者への愛情やもどかしさ、介護を続ける苦労などが虐待という形になることもあります。そうならないようにするための役割も、在宅サービスは担っていると感じます。
介護という業務だけでなく、家族の介護負担の軽減も重要な責務です。ですから、家族の状況を察する取り組みも重要です。ケアマネジャーがメインになってくることも多いですが、日頃かかわる訪問介護員や送迎担当のスタッフによる察する感性が重要になります。
ですから、スタッフの感性、気づく力を高めることが必要です。たとえば、家族の介護負担を軽減するためには、他の家族の事例などを紹介し合い、ちょっとした気づきが大きな事故などを防ぐことを学んだり、利用者個々の申し送りに加えて、あいさつに元気がない、目を合わせないなど、家族の状況をスタッフ間で共有することです。
虐待が疑われる際は、ケアマネジャーを中心に行政や地域包括支援センターと連携をとりながら、早急な対応が必要です。家族は、苦しんだ末に虐待という行為につながっていることがあります。少しでも状況が悪くなる前に対処すること、そのためには最初に察知する機会が多い介護現場の対応が重要です。
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。