特異な介護業界
2012年08月21日 12:00
「売上アップは望まない」
これは、経営相談で介護事業所の経営者から受けた悩みです。
本来、利用者が増えて事業所の稼働率や売上が向上することは、事業所にとってもスタッフにとっても喜ばしいことです。しかし、稼働率と売上アップに関して抵抗をもつスタッフがいるのが現状ということでした。
抵抗の理由は「多忙になると、利用者個々に向き合うことができなくなる」「介護の仕事は売上ではない」ということだったそうです。
確かに介護は、対人援助サービスの仕事です。売上や業務を重視すると、スタッフのやりがいも少なくなり、モチベーションの低下につながります。しかし、事業である以上、経営を安定・向上させることも必要です。そのためには、管理者やスタッフの協力が不可欠です。
大切なのは、なぜ稼働率と売上が重要なのか、稼働率と売上の向上がどのようにスタッフや利用者に還元されるのかを説明し、同意を得ることです。そうしないと、新規の利用者を断るという行動に現れることがあります。定員に空きがあるにもかかわらず、ケアマネジャーや家族からの問い合わせに対して、多忙という理由で新規の利用者を断ってしまうのです。そうすると、経営者の知らないうちに、新規の利用者の依頼が滞ってしまいます。
これは、巡り巡ってスタッフへの給与や休みの還元ができなくなることにつながります。何のための売上で、どの程度の売上や稼働率があればスタッフに還元できて、イベントなどの際に利用者に還元できるのかをしっかりと伝え、理解してもらいましょう。
その方法の一つが、事業計画の公表です。半期、または年度ごとに社員や管理者に公表していくことで、会社の理念が浸透していきます。
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