今回の介護報酬改定をどう捉えるのか?
デイサービスと訪問介護事業を経営する者として、今回の制度改正に伴う減算や時間区分の見直しについては痛みを感じています(資料)。
まずは、訪問介護の生活援助の時間区分の見直しで出てきた45分間という時間です。利用者と会話する時間もなくては、サービスの提供はできません。会話もせずに作業として行うのかと不満に感じます。
また、デイサービスについては、予想していた内容とはいえ「7-9時間の算定をどうしたらとれるのか?」といった質問メール、そしてコンサルティングのクライアントからの相談が多くあります。7-9時間の利用が利用者の意向に沿っているのであればいいですが、事業所の都合で強引に利用時間を変えてしまう視点は絶対によくないことです。
たとえば、3-5時間の算定で、交代制でサービス提供を行えば経営的には安定します。しかしそのためには、事務作業や利用者のニーズの把握が2倍になります。そうなると、結局は利用者の満足いくサービス提供ができない事態に陥る可能性があり、集客負担も2倍になる面があります。
また、スタッフにも「利用者とゆっくりとしたペースで向き合いたい」という考えから、数ある介護業務のなかからデイサービスで働くことを希望している人が多くいます。スタッフの仕事へのやりがいも感じられるようにしなくてはいけません。
このように、改定に伴い事業の方向性を変えるときは、メリット、デメリットを明確にし、メリットが多い方を選択することがベストだと思います。
しかし、実質的に単位が下がったとはいえ、デイサービスは他の介護サービスの単位に比べれば決して安いとは言えないと思います。
震災の影響の残る日本で、売上の9割を国が保証してくれ、なおかつ利用者のニーズもある事業です。
この改定で経営は大変になりますが、自分の事業所だけが下がる訳ではありません。平等に、同じルール、同じフィールドです。ここからが経営者、管理者の腕の見せ所であり、好機と捉えてみる視点も必要です。
改正があったためにスタッフの境遇が改善できないというのは理由にはなりません。サービスも同様です。
二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めました。一人は泥を見た。一人は星を見た。
さらに、どこをみるかで経営も変わります。これから告示や解釈通知等も決定しますが、そのなかで、他社が行っているからと参考にすることはよいですが、他社がやっていても自社に合うかを検討し、自社の強みを明確にして自社に合ったサービス構築をすることが必要です。
今回の改定による減収により、業務改善を行い、不要な経費を削減し、必要な箇所に投資し、事業への想いと経営の視点を深める好機ととらえていくことが、発想を広げることにつながります。
【お知らせ】
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介護保険改正前夜! 介護報酬改定
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