介護保険事業所の人材募集
人材募集の費用は、事業所にとって大きな負担であると同時に、必要不可欠な経費でもあります。だからこそ、効果的な募集を心がけたいものです。
そこで今週は、介護保険事業所における人材募集について考えます。
求人募集の方法として、主に以下の5つの方法があります。
1 求人広告(新聞折り込み、フリーペーパーなど)
都心部で若いスタッフを採用したい場合、新聞折込を通じて募集をかけても、対象となる若い人たちが新聞を購読していることが少なく、反響は少ないものです。逆に、地方部であれば反響はまだ大きいです。
フリーペーパー(無料の求人情報誌)は、地域によって特定の購読者はいますが、発行している部数と配布先を考慮し、反響が見込めるかどうか判断する必要があります。毎月のように掲載すると、費用が高くなってしまうので注意が必要です。
2 求人サイト
WEBには無料の求人サイトもあります。しかし、多くの無料サイトはアクセス数が高くないので、期待するだけの効果を望むのは難しいです。
有料サイトであれば反響を期待することもできますが、高い費用がかかります。サイトによっては1回の掲載で5万円、1回の募集で1万円などの費用が生じます。
若い人材を採用したい場合、対象となる若い人たちはインターネットから情報を得ることが多いので、反響が期待できます。この場合、公開されているアクセス数を鵜呑みにするのではなく、「介護 求人」「ヘルパー 募集」など、自分が思いつくワードで検索して調べてみることをおすすめします。
加えて、サイトの運営者や運営法人についても調べておきましょう。別会社で介護事業を運営している場合があります。そうしたサイトの場合、自社の求人を目的に運営していることがあります。
3 自社メディアでの求人
今後、介護保険事業所がホームページなどの自社メディアをもつことが求められてきます。「メディア」という言葉からは何か大がかりなものを連想しますが、ホームページや事業所のブログ、ツイッター、フェイスブックなどを指します。
求職活動をしている人は、多くの情報を求めています。なかでも、事業所の様子が少しでも垣間見えることが大切です。
自社メディアを公開する場合、動画を公開することをおすすめします。動画は難しいと感じるかもしれませんが、デジタルビデオカメラによっては、動画サイトへの編集ソフトが最初から付いていることもあるので意外と手軽にできます。慣れるまでは難しい面もありますが時代の流れに合わせて導入してみましょう。若いスタッフを採用したい事業所は特に重要です。
4 スタッフの紹介
今働いているスタッフによる紹介は、自社の社風に合った人材を確保できる可能性が高いです。自分が勤めていてやりがいや愛着を感じているから紹介したいと思うのでしょう。事業所としても、紹介者であるスタッフから、人柄や経験を詳しく聞くことができます。
このように、定着する可能性が高い方法ですが、次のようなリスクもあります。
・紹介したスタッフとの関係…馴れ合いになったり、派閥のようなものができる可能性。
・紹介したスタッフが退職するとき…一緒に退職する可能性。
そのほか、デイサービスの送迎・移動車などに事業所名を入れている事業所は多いものの、そこに求人の案内を掲載していることは意外と少ないものです。単に「スタッフ募集中」と貼るだけでなく、短く分かりやすく、目立つ字体で書くと効果的です。
人材募集のタイミング
退職希望が出たときや士気の落ちたスタッフがいたり、問題のあるスタッフがいるときは、慰留したり、問題を指摘・改善の方向に向かったり、ヒヤリングして解決できるようであればよいでしょう。
しかし、退職の意思が固かったり、解決できない問題の場合、どこかで決断しないと、いざ採用するときに適材がいないことにもなりかねません。
ですから、退職の希望があった時点で、欲しい人材を明確にして求人広告への掲載など、必要な対策をとることも必要です。
スタッフの家庭環境
女性のスタッフで、夫が転勤の可能性のある仕事に就いている場合、転勤が多い時期の前には「ご主人の仕事はどう?」などヒヤリングしておくことが大切です。また、子どもの進学なども大きな転換期になります。結婚した若いスタッフは、妊娠・出産・育児で休職することも考えられます。こうした家族状況も踏まえて、退職時期の想定をしておきましょう。
人材募集の費用
それでは、採用にかかる費用をどの程度に設定すればよいのでしょうか。毎年作成する事業計画には、少し多めに求人広告費の予算を計上することが必要です。
仮に50万円の予算が必要と考えた場合、2割ほど多い60万円の予算を計上することをおすすめします。それほど、人材の問題に関しては予測ができないものです。
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