前職を活かしたデイサービスの運営(2)
前回のブログでは、建築業からデイサービスに参入した人の事例をお伝えしました。今回紹介するのは、飲食店を経営していたAさんの参入事例です。
Aさんは飲食店の会社を経営していましたが、自分の母親の介護を経験したこともあり、思い切って介護業界への参入を決意しました。そこで「何からすればよいのかわからない」ということで、私に相談にきました。
私はまず、高齢者施設の見学と介護報酬を覚えることをすすめました。通常、介護業界の経験のない人には、可能であればヘルパー2級の講座を受講することをすすめています。資格の取得というと大変そうに感じますが、短期集中講座などもあります。
実際に講座を受講すると、介護技術や知識の習得はもちろん、受講生との会話の中で、介護職を目指している人の考えなどに生で触れることができるメリットがあります。Aさんは時間的に余裕がなかったので、かわりに社員2名がヘルパー2級の資格を取得しました。
さらに、デイサービスのコンセプトを決める時に、得意分野である「食」を打ち出すことにしました。単に昼食を豪華にするのではなく、介護度の軽い利用者と一緒に食事を作るのです。買い出しから献立の立案までをともに行い、自らカロリー計算も行うことにしました。
飲食店を長く経営しているだけあって、調理器具、季節の食材の確保など、資源はもっています。単に料理教室というプログラムにせず、「○○クッキング、~○○を行い健康、~」という副題をつけ、周知しました。認知されるまで時間がかかりましたが、数か月もすると、新規の申し込みが増えました。
部署異動で来た社員も、自らの経験が高齢者に喜ばれるというやりがいを見出すことができました。
Aさんの成功には「業界を知るために(社員が)資格を取得したこと」「経験を介護業界に変容したこと」が大きいと思います。これから介護の世界を目指す人は、何か自分のこだわりや得意分野を活かした展開をしてみてはいかがでしょうか。
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