前職を活かしたデイサービスの運営
異業種からデイサービスを開業し、成功している人は数多くいます。ここでいう「成功」とは、売上が上がっているだけではありません。経営者も介護の仕事にやりがいを感じ、スタッフもやりがいを感じているということです。
たとえば、建築会社を経営する法人です。
長年建築会社を経営してきたAさんは、この不況により新規事業を模索していました。そこで高齢化が進む時代を感じ、介護事業、中でもデイサービスへの参入を考えました。
とはいうものの、介護の経験があるわけではありません。そこでまずAさんが行ったのは、近所の老人ホームにボランティアに行き、高齢者と接することでした。
Aさんは自分の経験不足を痛感し、早速ホームヘルパー2級を取得しました。それでも不足を感じ、社会福祉主事の通信講座も受講しました。建築会社は奥さんと弟に任せて、登録ヘルパーとして3か月間勤務したのです。
社長の年収は約800万円、月給60万円ほどだったのが、ヘルパーとしての月給は18万円。この給与でがんばっている人がたくさんいることを肌で知ったのです。
多くの利用者と接することで、介護の知識や技術も深まりました。
ヘルパー2級の資格取得には、短期講座で1か月間、実際に勤務したのが3か月間、事業計画とコンセプト構築に2か月間、改築に1か月間と、半年かかりました。
Aさんは、建築会社の経験を活かしたプログラムを導入しました。それは、男性の利用者にターゲットを絞ったリハビリ日曜大工というクラフトです。廃材や古くなった工具を使用したので、コストはほとんどかかりません。男性だけでなく、女性の利用者も興味をもちました。
利用者の中には、元大工、趣味で日曜大工を行っていた人もいるので、盛り上がっています。作品を自宅で使用している利用者もいます。夏には流しそうめんの台、冬にはクリスマスツリーを作ったりしています。
Aさんは現在、3つの事業所を運営しています。Aさんがうまくいったのは、実際に現場を知ろうとする姿勢、自分の行ってきた仕事を変容させてデイサービスに合わせたことにあります。
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