デイサービスがうまくいかない理由
今年に入り、異業種から介護事業に参入する人からののコンサルティング依頼が増えました。そのなかには、うまくいく人と失敗する人がいますが、「うまくいく」とは、早く稼働率が上がる、スタッフの定着率がよいということです。
それでは、失敗する事業所にはどのような共通点があるのでしょうか。
(1)スタッフの言うがまま
事業者に介護の経験や知識がないため、経験あるスタッフの言いなりになってしまいます。確かに介護の仕事は経験と知識が必要です。しかしスタッフの言いなりになってしまうと、会社への帰属意識が弱くなります。帰属意識が責任感ややりがいになるか、反対に自法人を悪く言ったり、上司の批判をする悪い方向に向かうかは、経営者の姿勢によるところが大きいです。
スタッフのほうが経験や知識が豊富だとしても、法人の指針をしっかりと示し、スタッフのがんばりを評価することが大切です。
(2)売上至上主義
売上は、事業を継続・発展させていくために大切です。売上概念の欠如が介護業界の問題点でもあります。だからといって、売上を最優先すべき事業とは異なり、赤字になっても行うべき事柄も多くあります。
最近多い相談で、早めに稼働を上げたいからとリハビリの機器を入れたり、お泊りを行いたいという内容があります。しかし、デイサービスの利用者でリハビリを重視している人には、デイケアが適していると考えるべきです。地域にデイケアがなかったり、デイサービスでリハビリを行いたいという希望がある場合に限って必要なことでしょう。
果たして、機器があればリハビリが可能かといえば、それだけでは不十分です。理学療法士や作業療法士など機能訓練の専門家を雇用するなどして質を高めないと、機器の取り扱いに危険が生じる可能性があります。
「リハビリ」という言葉は、利用者の意欲を高める場合もあります。しかし、資格をもっているからリハビリのサポートや指導が可能かというと、必ずしもそうとは言い切れません。高齢者へのリハビリ訓練の経験があるかどうか、どれだけのスキルがあるのかも大きいです。彼らにも得意分野があるのです。
リハビリという言葉で集客が容易になると感じ、安易に使うのは、利用者のためにはなりません。リハビリと一口にいっても数多くの方法があります。しっかりとした方向性を打ち出し、何のためにどのような人を対象にしたリハビリを行うのか、そのコンセプトを落とし込んだ上で行うことが大切だと思います。
これはお泊りに関しても同様です。緊急時にショートの予約がとりづらい、有料老人ホームの費用が高い、家族が急遽倒れてしまった等の際は必要な場合もあります。しかし、デイサービスの稼働率を高める戦略としてのみ行うことは危険です。
夜勤を担当するスタッフには、経験が必要です。私が介護業界に入った15年前ほど前、老人ホームでは日勤勤務を2、3か月経験してから夜勤に入りました。現在は人材不足で難しい施設もあるようですが、夜勤も最初の2~4回は先輩スタッフに同行してもらいました。
異業種から参入される人は、夜勤のイメージがつきにくいのでしょう。機会があったら施設や小規模多機能などの夜勤を経験されてみたらよいでしょう。
そのうえで、緊急時はどうするか、夜勤スタッフの待遇はどうするか等をしっかりと考えていく必要があります。お泊りは社会的使命をもって行うことが必要です。
同時に、夜勤に従事するスタッフの評価も大切です。売上ありきのコンセプトの構築と、資格をもっているから大丈夫という評価は安易にすべきではありません。異業種の経験をどうデイサービスに変容して活用するか。
そこが新たなサービスの創出につながります。
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