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辻川泰史の「介護事業所運営のコツ、教えます」

決断

 広辞苑によると、「決断」とは「きっぱりと決めること」とあります。きっぱりと決めるためには勇気が必要で、自信が不足していると難しいものです。しかし、決断したことが間違いなくうまくいく確信が得られるのは少ないものです。

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 確実に効果が得られる戦略というのは、他の事業所も考えています。この状況では、地域に根差して差別化を図ることは困難です。
 戦略と戦術に加えて「決断」が求められ、「決断」とは経営者・管理者にとって一番重要な仕事であり、一番求められていることです。
 私自身が決断したことの一つに、こだわりを捨てることがあります。「捨てる」という決断です。特定のサービスを捨てるという決断です。
 当社が初めてデイサービスを開設した事業所は、配食で昼食を確保していました。外注での食事の確保です。
 その外注でも、利用者に満足してほしいと思いこだわりをもち、業者の選定をしていました。
 しかし、こだわりすぎるとコストが高くなります。事業所の負担分と利用者の負担を考えると、果たして食事へのこだわりが当社にとって必要なのかと疑問に感じました。
 食事は利用者の楽しみの一つです。手を抜くわけにはいきません。
 当時の当社は、食事、レクリエーション、入浴、イベントと、すべてに特化しようとしていました。うまく特化できればよいのですが、小規模の事業所には難しいのが現状です。
 結局、何が特色なのかが傍から見ると不明な事業所になってしまいました。そこで、食事にこだわることを捨てたのです。
 その代わり、レクリエーション、機能訓練に専門の人員を増員し特化しました。すると、食事の目的で利用されている人のサービスは中止・減少しました。しかし、逆にレクリエーション等の目的の利用者が増えたのです。
 今まで外注での食費にかけていたコストを、プログラムの講師やレクリエーションの費用にまわしました。
 小規模の事業所として、柔軟にサービスを全体的にフットワークよくこだわりをもち、力を入れることは大切です。ただし特色が薄くなってしまう事態も考えられます。捨てるという決断も時には必要になります。
 何か事業所の特色と合致したサービスに尽力し焦点化することで、事業所の特色が明確になりまます。


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プロフィール
辻川 泰史
(つじかわ やすし)
1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/
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