小規模事業所の経営戦略(1)
小規模デイサービスは昨今、雨後の筍のように破竹の勢いで増加しています。デイサービス全体の事業所数は全国で3万事業所に迫る勢いです(表)。
表1 全国のデイサービスの推移
今年に入り、全国では月間で200ほどの事業所が開設されています。私がデイサービス事業を開始したのは、2003年11月のことです。東京都小金井市で、定員25名の事業所を開設しました。
当時、市内には民間のデイサービスはなく、当社が民間としては初めてでした。しかし現在は、社会福祉法人、NPOは3割ほどであり、7割は民間企業の運営するデイサービスが占めています。
介護業界は保険制度の事業、商品ライフサイクルの定義が当てはまりにくい業態です。しかし、そのサイクルでいえば、成長期から成熟期の転換期に入っているといえます(表2)。
表2 商品のニーズとその経過
ここで考えておくべきなのは、事業所数とサービスの質が必ずしも比例しているわけではないということです。事業所の数は転換期を迎えていますが、サービス自体、家業の延長で運営しているケースも少なからずあります。
利用者が選択できる基準が備わっている状態といえる状況ではなく、利用したいサービス自体が少なく、選択が限定されている現状もあります。
ここで必要なのが、デイサービスを運営する事業所が独自の特色を明確にし、サービスの独自性を伸ばし、サービスの質を向上させていくことです。さらに、事業所の特色を活かしたサービスを周知し認知してもらうことが必要です。
介護業界は情報の発信が不足している面があります。個人情報の保護や情報を得る側(利用者及び家族、ケアマネジャー)の資源の問題等、業界として積極的に情報を発信しにくい現状もあるでしょう。そこに訴求することを考えるのが求められる現状になりつつあります。なぜならば、今後もデイサービスの参入は増えていくことが予想されるからです。5年前、3年前、去年までの経営の方法を行っていては、事業継続は困難になります。
それでは、小規模デイサービスが独自の特性を伸ばし、地域に根ざして健全な運営を継続していくためには何が必要なのでしょうか。次回のブログで考えてみたいと思います。
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