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辻川泰史の「介護事業所運営のコツ、教えます」

小規模事業所の経営戦略(2)

 前回のブログで、小規模デイサービスが独自の特性を伸ばし、地域に根ざして健全な運営を継続していくためには何が必要かと問題提議しました。今回のブログでは、小規模デイサービスの戦略と戦術について考えていきます。

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 「広辞苑」によると、「戦略」と「戦術」は次のように書かれています。
【戦略】
 戦術より広範な作戦計画。各種の戦闘を統合し、戦争を全局的に運用する方法。転じて、政治、社会運動などで、主要な敵とそれに対応すべき味方との配置を定める事をいう。
【戦術】
 戦闘実行上の方策。一個の戦闘における戦闘力の使用法。一般に戦略に従属。転じて、ある目的を達成するための方法。

 利用者へのサービスの質を上げるためという理由で、人材を多く配置して埋めようとする「戦略」を用いる事業所が数多くあります。確かにそれも必要な「戦略」の一つでしょう。「徘徊される利用者が多いから人材を増やす」「入浴のニーズが高いから人材を増やす」……。しかしそれでは、継続的に問題が解決されない状態のままです。業務オペレーションを戦略的に見直す、または新しく構築する必要があります。
 小規模デイサービスの経営のメリットは何でしょう、それは、スタッフの視点でいえば利用者と密に接することができる点です。反対に経営的な視点でみると、人件費を抑えて稼働させる点です。小規模デイサービスの営業と経営の戦略として考えた場合には、次のような項目を細分化し、戦術に落とし込んでいくことが必要です。

○サービス方法
・レクリエーション=曜日ごとに何を行うかなど
・機能訓練=どのような評価方法を行うかなど
・食事=利用者の趣向、健康、カロリーなど
・入浴=浴槽自体にこだわる、泉質、個別対応など
・記録など=ケアマネジャーとの連携、職員同士の情報の共有→利用者へのサービスなど
・外部講師の活用=より専門的な活動

○マネジメント方法
・職員との面談=問題点の把握、悩みの解決
・理念の周知=組織の方向性の認知
・組織体系=管理体制

○営業方法
・時期=いつ行くのか?
・ツール=何を持っていくのか?
・行き先=どこに行くのか?
・アプローチ=どのような対応をするのか?法人として統一するのか?
・担当=誰が行くのか?

 小規模デイサービスの経営者の多くは介護職出身者、または身内の介護問題がきっかけとなり介護事業で貢献したいという想いから運営している場合が多くあります。その想いや介護への考え方は間違っていないにもかかわらず、稼働率が思うように向上しない原因の一つに、この「戦略不足」が挙げられます。
 小規模デイサービスだからできるフットワークの軽さを活かした「戦略」を構築し、「戦術」レベルまで落とし込むことが重要です。どんなにすばらしい「戦略」であっても、実行されなくては意味をなしません。
 戦略=戦術です。戦略を立てることで満足し、「方向性は出したけど、効果がない」場合は、実行できる環境や状態が整っておらず、いわいる「戦術」が不足していることが多くあります。なぜ、そうなってしまうのでしょうか。それは「決断」が不足していることが考えられます。
 戦略を戦術に落とし込み、いざ行動に移す際に「本当にこの方法(戦略)でよいのだろうか」という気持ちで躊躇することがあります。100%確実に効果が得られる戦略は、ほかの事業所も行っています。それでは、地域に根ざして差別化を図ることは困難です。
 戦略+戦術、そして「決断」が求められます。「決断」は経営者、管理者にとって一番重要な仕事です。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
辻川 泰史
(つじかわ やすし)
1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/
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