呼称
中学生時代、後輩が入部してきた時に初めて「先輩」と呼ばれ、照れくさくもあり、嬉しかったことを思い出します。
最初は「先輩」と呼ばれることに違和感がありましたが、「先輩」と言われるたびに無意識に自覚がついてきたように感じます。
時は経ち、実習に行った時に初めて利用者から「ヘルパーさん」と呼ばれて「自分はヘルパーなんだ!」と嬉しく感じました。
さらに、起業して初めて「社長」と呼ばれたのは銀行でした。「そうか、自分は『社長』なんだな」と自覚し、決意を深めました。
「立場が人を育てる」と言いますが、呼ばれ方や役職で自覚が深まっていくものだと思います。
私自身、講演に呼ばれたり、コンサルティング業務を行っていると、「先生」と呼ばれることがあります。
「謙虚」とは違います。自信がないわけではありませんが、「先生」という呼ばれ方にはとても違和感があります。
経営者という立場になると、さまざまな「先生」に接します。税理士、社労士、コンサルタント、大学教授、講師……。自分が「先生」と呼ばれるのは、何か自分の成長にとってよくない気がします。特にコンサルティング業務で「先生」と呼ばれると、何か勘違いしてしまうように感じるのです。
自分にコンサルを依頼するのは、自分の能力が高いからでなく、たまたま自分が先に経験して知っている事柄が、その方(法人)に必要なだけだと思います。
人は、呼ばれ方一つで気持ちが変化します。仕事上では、管理者などになって役職名で呼ばれるたびに、自覚が増してくるでしょう。リーダー(主任等)になって、初めて「リーダー」と呼ばれて、リーダーの自覚が深まるでしょう。家庭では、兄弟が生まれて初めて「お兄(姉)ちゃん」と呼ばれて、お兄(姉)ちゃんの自覚が深まるでしょう。子どもが生まれて、初めて「お父(母)さん」と呼ばれて、お父(母)さんの自覚が深まるでしょう。
時にそれが負担になったり、逆に自信になることもあると思います。しかし、そうした中で人は成長していけるものです。
何気なく呼ばれている役職、呼称を噛み締めてみると、とても感謝の気持ちが湧いてきます。それは自分の存在を実感できるものでもあるのです。
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