デイサービスの将来像
最近、デイサービスの将来はどうなるのかと感じることがあります。私が介護業界に入った13年前には、民間のデイサービスはほとんどありませんでした。
デイサービスの事業所数の推移をみると、2002年の段階でおよそ11000事業所です。4年後の06年には2倍の約20000事業所、そして現在は約2万9000事業所です。恐らく今年中には3万事業所に達すると思います。
約9年で3倍! 特色を出さないと、デイサービスの運営はできなくなるでしょう。
私のクライアントがデイサービスを開業し、あいさつと営業を兼ねてケアマネジャーに会いに行くと、3割ほどの人から「宿泊は行っていますか」という質問を受けるといいます。「利用者の泊まりを受け入れる」ことで事業所の特色、コンセプト、オプションとして認識されるということです。
さらに、「リハビリデイサービス」=「理学療法士や作業療法士がいるからリハビリに力を入れている」ということで、事業所の特色が明確に伝わります。
一般的に「デイサービスを運営しています」「開業しました」といっても、ケアマネジャーや利用者の視点からはその違いがわかりません。最近話題の「お泊りデイ」は、利用者のニーズがあるからそれに対応しようというスタンスはすばらしいと思います。デイサービスの目的である「家族の介護負担軽減」を追求すると、ここまでのサービスにならざる得ない状況が多くあります。
しかし、宿泊を受ける代わりに、日中のデイサービス利用を条件にすることには疑問です。それが常態化してしまい、デイサービス=宿泊付きとなってしまうと、在宅サービスでなく施設サービスになってしまうのではないでしょうか。デイサービスの位置づけの変換を社会から望まれているということなのでしょうか。
こうなると、問題も出てきます。その一つが人材の確保です。
デイサービスは、日中のサービスだから人材を得やすい点があります。これに夜勤が加わると、手当や設備の面などの関係から、多くの人は老人ホームや小規模多機能、グループホームへの就職を希望するのではないでしょうか。
ですから、一般的なデイサービス、認知症対応型、宿泊つきなど住み分けをしていくことも必要です。どこも似たようなデイサービスの形態が多くありますが、それだけでは勝ち残れない時代なのです。自社の強みと弱みを抽出し、伸ばす箇所は伸ばし、改善するべきは改善する。そこを真剣に取り組んで自社の特色を出す努力が求められてきているのです。
それでは、事業所の特色を明確に伝えるためにはどうすればよいのでしょうか。即効性のあるものは多くはありません。事業所によって地域性や人材は異なります。特に人材は、対人援助サービスがデイサービスの基本なので、人材の個性をどう活かし、事業所の特色としてサービスにするかが大切です。
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