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辻川泰史の「介護事業所運営のコツ、教えます」

働きに応じた給与

 以下は研修の際、受講生の一人との会話です。
受講生 辻川社長、自分は今、総支給20万円しか貰っていないから、会社から自分の業務以外のことを求められても割に合わないんですよね。

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――割に合わない? 損するとはどういうことですか?
受講生 この安い給与で、そこまで業務を行って会社に貢献する必要があるのかな?って感じてしまうんですよ。自分が損します。
――なるほど。どれくらいの給与を貰えれば、○さんはやってみようって思えますか? 言い方を変えると、自分は評価されている、認めていると感じることができますか?
受講生 今より5万円ぐらいアップしてくれたらいいかな。
――年間60万円ぐらい多くもらえればということですね。
受講生 そうですね。
――じゃあ仮に、来月から○さんの給与が希望どおり5万円昇給ではなく、10万円昇給したとしましょう。
受講生 10万円ですか?あり得ないですよ。
――あり得ないと思いますが、仮の話です。○さんは会社にどう貢献しますか。
受講生 うーん。何かプレッシャーを感じますね。
――そうですよね。期待が重荷に感じる時もありますよね。
受講生 10万円も昇給しなくていいかな……
――10万円の昇給までは望んでいないのですね?
受講生 多くもらえるのは嬉しいけれど……
――何が引っかかりますか?
受講生 やっぱり求められることが多いと責任も感じてしまい、自信がありません。
――昇給することは責任も伴うということを感じているんですね。
受講生 そうですね。
――5万円の昇給だと、その責任はどうですか?
受講生 同じですね。
――自分自身が自信をもって受け取れる給与額はどのくらいですか?
受講生 今がベストなのかな。
――そう感じるのはなぜですか。
受講生 責任をもつことを避けてるからですかね。

 話はまだ続きましたが、最終的には、昇給していくために何が必要か、そのために自分自身が行うべきことは何かを考えてみると言っていました。
 自分の満足する給与が得られていないという不満があると、業務に対する姿勢に影響が出てしまうかもしれません。
 「この給与でやっていられるか!」「この給与でここまで頑張っても損をする!」「この給与では頑張れない!」
 そういう気持ちになることは理解できますし、当然の心情だと思います。

 今の時期はプロ野球の契約更改が盛んな時期です。球団と選手の交渉に関心をもっている人も多くいると思います。
 介護の仕事で昇給するための評価は、プロ野球ほど細かく詳細に分けられるものではありません。数字に残せない、表われないことが多くあるので難しいところです。加えてプロ野球選手の年俸の額は、一般の仕事の給与とは桁が違いますが、自己の立場に置き換えて考えることで、どうすればよいのかという参考になると思います。
 球団の評価に満足いかない年俸査定の選手もいるしょう。その選手が「自分は年俸○○万円だから、打率、試合数、打点数はこれぐらいでいいだろう。年俸以上の働きはしない」と考えてプレーしたら、成績はどうなるでしょうか。自分で決めた成績を残せたとしても、翌年の年俸は上がるでしょうか? 良くて現状維持、減俸もあるかもしれません。もっと成績を上げて、周囲の期待に応えていこうと考えるから、年俸のアップにつながると思います。
 現在の自分の給与が低いから「頑張らない!」「行わない!」のは、果たして自分のためになるのでしょうか。自分が損をしていると思います。
 自分が不満に感じている給与だからといって、不満に感じている給与分しか行わないと自分で決めてしまったら、いつしか本当に不満な給与分しか仕事ができないようになってしまうのではないでしょうか。できるのに行わないと、本当に必要な時にできなくなってしまうこともあると思います。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
辻川 泰史
(つじかわ やすし)
1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/
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