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辻川泰史の「介護事業所運営のコツ、教えます」

ケアマネジャーの待遇と改善

 次の介護保険制度改正において、ケアプランの作成料が有料となる見通しです。そこで今回は、ケアマネジャーの業務と待遇、さらにはその改善策を考えてみます。
 当社を含め、通所介護と訪問介護のほか、居宅介護支援事業所を併設している法人は多くあります。居宅介護支援事業所を併設する目的は、大きく分けて次のようなものです。
(1)地域へのニーズ対応
→居宅数が少ない地域など
(2)利用者の介護保険の相談窓口としての貢献
→ワンストップサービスの意味を含む
(3)自社サービスへの紹介
→もちろん利用者の選択による
 以前は利用者を抱え込み、自社のサービスだけ利用してもらうプランを強要された声を多く聞きました。現在は改善されたと思いますが、少なからず存在するのではないでしょうか。

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経営の視点から
 ケアマネジャーの給与は、作成料だけでは捻出できません。捻出するためにはケアマネの給与を下げるしかないと思いますが、それでは離職につながるため、一定の水準は確保していることでしょう。
 たとえば、ケアプランの売上が月に35万円とします。ケアマネジャーの給与が25万円で、差引10万円の利益が出ているとします。
 しかし、電話代やPCのソフト代、紙代(年間数万円)など、結構コストがかかります。そこを補填することに加え、昇給や賞与を考慮すると苦しい現状があります。

現場の視点から
 ケアマネジャーは、朝や晩、休みに関係なく利用者に呼ばれることも多くあります。携帯電話を常に手放せず、地下など電波の届きにくい場所ではヒヤヒヤしていることでしょう。電話?と鞄から電話を出して確認すると気のせいだったり、気持ちが休まらないこともあります。
 家族の都合で夜にしか訪問できないなど、時間的な制約のなかで訪問しているケアマネジャーが多くいます。これは「利用者本位」「利用者のため」という気持ちがあるからできるのです。施設(事業所)と家族(利用者など)の間に挟まれて、精神的に苦しい時もあります。
 それで昇給や賞与がないと「認めてもらっていないのでは」と自分自身の仕事の意義を忘れてしまう時もあると思います。
 それでもがんばるのは、「利用者の生活の質が向上した」「喜んでもらえた」「事業所との関係がうまくいった」など、何気ない「感動」を感じることができるからです。
 そうした法人やケアマネの現状。赤字が出ている居宅支援は、他のサービスで補填します。だからといって自社のプランを自社サービスを利用するように強要することは、職業倫理や制度上、絶対してはいけないことです。
 どうすれば互いにWin-Winの関係になれるのでしょうか。たとえば、次のような方法が考えられます。
・自社のケアマネジャーが自社サービスに自信をもち、自社のサービスを、強要されるのではなく、自信をもって利用者に説明、勧めてくれるようなサービスを目指し実践していく
→自分の担当している利用者に満足してもらえるサービスだと感じれば、強要ではなく、正当なサービス選択の提案になります。
・法人はケアマネジャーに任せきりにするのではなく、サポートできることはサポートする
→公休日にある程度対応できるようにしたり、請求業務の補助など。
・ケアマネジャーの悩みを共有する
→一人で抱え込んでしまわないように、相互にサポートします。

 結論や即効性のあるものは法人の特色によって違うと思いますが、相互の立場を理解しようとする姿勢が大切です。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
辻川 泰史
(つじかわ やすし)
1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/
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