増える「ケアマネジャーの資格停止」
昨年から、ケアマネジャーの資格停止が増えています。
まずは、この数か月に報道されたものにどのような事件があるのか、見ていきましょう。
まず、栃木県の「在宅介護ケアプラン作成センター健康の泉」は、2009年から4年間、13人の利用者のケアプランを交付せず、サービス担当者会議も開催していなかったといいます。不正受給と認められた金額は、約2,600万円です。
また、昨年11月のこと。埼玉県さいたま市では、「埼玉ライフサービス社」が運営する居宅介護支援事業所「さわやか中尾」の指定を取り消しました。その理由は、禁止されている責任者の兼務でした。人員基準および運営基準違反に問われたことになります。
そして12月。北海道函館市は、「ケアプランセンターくるみ」が、5人の利用者のサービス担当者会議を開かないままケアプランを作成し、13万2,500円を受給していたと発表しました。介護サービス事業者側から市への内部通報があり、調査した結果、発覚しました。
運営する「有限会社サポートセンター函館」は、2014年2月1日から3ヵ月間、すべての業務ができない指定効力停止処分を受けました。
さらに同じ12月。今度は山口県下関市が、「和み居宅介護支援事業所」を運営する「有限会社一期一会」に対し、指定の取り消しを発表しました。2011年7月から2013年8月まで、利用者56名のケアプランの作成・変更に必要な「定期的訪問および記録」をしないまま、介護サービスを追加・中止したりするなどをしていました。運営基準違反を日常的に繰り返し、介護報酬を不正請求していたことになります。
2013年8月、利用者からの「ケアマネジャーが訪問をしてくれない」という相談がきっかけでした。
これら一連の事件を、どのように考えればよいのでしょうか。
一部の不届き(?)なケアマネジャーの確信犯的行為なのでしょうか。それとも未熟なケアマネジャーが忙しいがために手抜きをした結果なのでしょうか。
ちなみに栃木県の事件では、加藤正博元社長(71)は主任介護支援専門員でした。つまりベテラン級であり、介護支援専門員の倫理などについても模範となるべき立場の人です。
そして、これら多くの不正の根拠として指摘されたのは、ケアプランの未交付、サービス担当者会議の未開催、月1回の未訪問」です。そして発覚したきっかけは、監査ではなく、「利用者からの相談、介護事業者からの情報提供、事業所内の職員からの内部通報」でした。
このような事件を、ケアマネジメントの仕事の煩雑さと多忙さが原因と主張するケアマネジャーの方はいないでしょう。本来、行うべきことをやってこなかったことの結果、またそれをチェックする機能が事業所になかったことの結果と考えるとどうでしょうか。
そして、そのことの意味を考えずにケアマネジメントを行い続けることの問題性に、無感覚・鈍感になっていたのかもしれません。
しかし、ここでのポイントは、保険者は運営基準違反を問題視しているだけで、ケアマネジメントの質やケアプランの表記、ケアサービスの内容と質を問うているわけではないということです。
むしろ、ケアプランが交付され、サービス担当者会議が行われ、月1回の訪問がされていれば問題なしとなるなら、それでケアマネジメントの質の担保が本当にされるのでしょうか。
特定事業所加算IIの条件が「週1回定期会議」の義務化です。つまり、このような条件をつけないと定期会議が実施されてこなかったことの裏返しではないでしょうか。
いま、一部のサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームにおいて、「自立支援に質さないケアマネジメント」の実態が私の耳にも届いています。これもいずれ、問題化することでしょう。
地域包括支援センターの役割の1つが、「包括的・継続的ケアマネジメント」です。まさに包括の主任介護支援専門員が業務として、また居宅の主任介護支援専門員が地域のケアマネジメントリーダーとして、「ケアマネジメントの適正化」に真摯に向き合う時期にきています。自浄作用こそが、「社会的信頼」を獲得することにつながります。
昨日からメディアで話題になっている「全聾の作曲家」を告発したゴースト作曲家Nさんは、良心の呵責と創造する作家としての倫理との葛藤のなかで英断をされました。とても時代を示唆する事件だと思います。
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【研修会場・写メ日記】
山口県・山口県立大学主催 地域包括ケアフォーラム
基調講演「持続可能な地域社会と地域包括ケアシステム」
神戸市市民大学福祉職員研修会
「福祉職員のモチベーション・アップ~自分育てのセルフ・マネジメント術~」
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