「ビジネス誌」が軒並み介護特集
このところ、書店のビジネス誌のコーナーに立ち寄ってみると、ちょっと不思議な光景に出会うでしょう。なんと介護特集をやっているビジネス誌が積まれているからです。
それが週刊ダイヤモンド、週刊エコノミスト、週刊東洋経済の3誌です。この3誌の読者は、30~50代のビジネスパーソンが対象です。そのビジネス誌がどうして「介護特集」を組むのでしょうか?
早合点する人は、「やはり成長戦略をとるアベノミクスの1つが介護ビジネスだから、それで積極的に取り上げているんだろう」と思われるでしょう。たしかに週刊東洋経済の「介護ショック!」は、さまざまなデータを紹介しているので、その様相がちょっと強そうです。
しかし、週刊ダイヤモンドの表紙を見るとどうでしょう・・・。長崎を舞台にした実話の映画「ペコロスの母を見に行く」の表紙。つまり息子の介護を取り上げた表紙なのです。
そして週刊エコノミストは、ずばり「介護離職」がテーマ。そうなのです。介護を理由に仕事の現場を離れる「脂の乗りきった層」が増えていることの表れなのです。
私はこれまで、「もう限界!」シリーズの単行本を5冊ほど監修し、最近では「介護で仕事を辞めないために読む本」(自由国民社)なるものを監修しました。ちょうど一年前です。その時は、期待?したよりも手に取っていただける方が少なかったようです(^_^;)。
しかし、一年が経過し、3大ビジネス誌が取り上げる状況になったことは、それだけ「介護による離職」「介護が仕事に影響すること」が一般的に認知されてきたからでしょう。
そして、メディアなどでも、声を上げる人が増えてきたことがあります。そしてとても深刻な事態が起こってきているからともいえます。
今回の週刊エコノミストの「介護離職」、私もお手伝いをしました。
ここでは、編集者と3つのケースをシュミレーションをしました。特に3つ目のケースは、要介護3の支給限度額(265,000円)を突破して、自費で10万円くらいを持ちだすケースを作りました。
私:「これって、飛び出し過ぎではないですか?」
編集者:「いえいえ、このケースは介護保険サービスを目一杯使って、さらに10万円の持ち出しをするだけで仕事が続けられるというコンセプトにしたいのです」
私:「なるほど、それだけの出費をしても、仕事を続けたい人はいますよね。そのほうがリアリティがありますね」
みなさんもお分かりのように、現場では支給限度額を目一杯使うことはあまりありませんね。だいたい、5割程度でしょうか。
その要因ですが、いざという時に枠を残しておきたい?(例:緊急ショートステイを使うとか)というのが1つ。
そしてもう1つが、持ち出しの1割負担の金額をできるだけ減らしたいということです。
つまり要介護3であっても、「10,000円」前後でおさえてほしいと要望?があれば、上限は10万円前後でしかサービスが組めないわけですから、それで作っているのです。
でもどうでしょう・・・。
「仕事を続けるためには10万円くらい持ち出しをしても、なんとかならないでしょうか?」と申し出をされる人はいないと思いますか?
いえいえ、確実にいます。それは、お金を持っている人だからというだけではなく、「生き方の上で仕事を大切にしている」「自分の人生を犠牲にしたくない」「育児と同じように両立をさせたい。多少、一時の出費があってもいい」
着目すべきは、そのようにポジティブに考える人たちが育っているということです。
つまり、「ワーク&ライフバランス」の「介護版」と考えてはいかがでしょうか? 「ワーク&ケアバランス」といってもいいでしょう。
育児・子育てがそうであったように、積極的・前向きに介護と向き合うビジネスパーソンが生まれてきたことは、介護保険制度の成果の1つと私は考えます。
いまの雑誌特集は、とてもわかりやすく書かれています。やがて、介護保険制度にくわしい、サービス利用に長けた利用者(家族)の方々が育ってくるときに、現場のケアマネジャーのみなさんの力量はさらにアップすることでしょう。
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【研修会場・写メ日記】
私の先週の研修写メ日記です!
石川県野々市市地域包括支援センター「地域ケア会議の進め方」
長野県飯田市地域包括支援センター主催「サービス担当者会議の開き方・進め方」
横浜市「サービス提供責任者の提案力」研修会
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