「ケアプラン」を拡大コピーしましょう!
先週からケアプラン研修が続いています。
今週の火・水に訪れたのは、新潟県南魚沼市。今年度から「ケアプラン点検」を始めるので、地域包括支援センターと行政担当者にはその手法と進め方を、現場のケアマネジャーの皆さんにはそのメリットと活用の仕方を研修したいという依頼でした。
こういう研修では、事前にこのようなお願いをしています。
「参加されるケアマネジャーの皆さんには、“これぞ!”というプランを1名分持ってきてもらってください。できれば、要介護1~2の方のプランにしてください。もちろん、個人情報の部分は削除してもらってくださいね」
実際の研修では、ケアプランへの不安や困り事をグループ内で話し合ってもらい、一般的なケアプランを数例見せて、なぜこのようになるのかを分析します。そして、その後に、「これぞ!のプラン」を自己チェックしてもらっています。
「え~、私、先生が言ったプランをやってるぅ!」
「やだ、私、安定・安全・安心・安静を使っているわ!」
「う~ん、これは抽象的だなぁ」
「いままで、なんというプランを書いてきたのかしら…ああ、落ち込む!」
「私も下肢筋力の低下って、使っている!」
先ほどまで笑っていた空気が、一瞬凍りつきます。私が説明する「あってはいけないプラン表記」が目の前にあるのですから…。
でも、私はすかさず、皆さんをフォローします。
「まず、『これってわかりにくいよな』とご自身で気づくところからすべては始まります。ですから、皆さんは、これで一段階アップしたということです。では、どのように表記すればわかりやすくなるのか、その書き方・書き換え方をこれから一緒に学んでいきましょう」
このような流れでケアプラン研修を行っていくのですが、私はいつも一抹の不安があるので、どこかのタイミングで必ず、次のことを尋ねるようにしています。
「皆さん、ちなみに、ケアプランの文字が読めますか?」
会場を見渡し、だいたい50代前後の方に問いかけると、たいていは苦笑いをしながら、「いいえ、読めませんね」と返答します。これは全国どこでも同じです。
「つまり、皆さん自身が、文字が小さくて読めないと思っているわけですから、80代の利用者(家族)の方はどうでしょう? 読めていると思いますか?」
そうなんです、ほとんどの方が、パソコンのプリンターで印刷されたA4横サイズのままのケアプランを、利用者(家族)の方に渡しています。それを読んでいただいて判子をもらっているという…
多くの利用者(家族)が「見えていない」「読めていない」のをどこかで気づいているのに、そのままにしてきた10数年…。実に不思議なことです。
「利用者本位」という言葉を、当たり前のように口にするようになったことは、すばらしい前進の1つだと私は思います。
しかし…です。読みにくい(読みづらい、見づらい)ケアプランへの配慮がほとんどされてこなかったのは、一体どうしてでしょう?
「皆さん、ケアプランは拡大して渡しましょう。皆さんが手書きで大きく書く必要はありません。コピー機の「144%拡大」を選択すれば、コピー機が勝手にA4をA3サイズに拡大してくれますから」とさらにご丁寧に説明します。
ケアプラン説明の際に、持参した拡大鏡(銀行や郵便局にあるでかいサイズの虫眼鏡です)をお貸しすることをやっているケアマネジャーの方がいると、「さすが!」と拍手を送りたい気持ちでいます。
どなたか、お知り合いにいらっしゃいませんか?
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研修の様子はケアタウン総合研究所の公式Facebookをご覧ください。
【研修会場・写メ日記】
(一般社団)特定施設事業者連絡協議会 施設ケアマネジャー研修会
「多職種連携のチームケアとチームモチベーション」
大阪会場
東京会場
高知県宿毛市地域包括支援センター
「多職種連携と地域ケア会議の活用」
新潟県南魚沼市介護保険課主催
「ケアプラン点検事業」研修会
新潟県新発田市
「地域ケア会議の開き方・進め方・まとめ方」
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