連載裏話:スーパービジョンで学ぶ
『月刊ケアマネジャー』読者の皆さん、11月号はもうご覧になりましたでしょうか?
特集は、「知らないと危ない!嚥下障害と低栄養」です。「知らないと危ない!」だと、その続きには「中国産野菜の恐怖」なんてフレーズがあってもおかしくないですね。
さて、今月号の連載「高室流“自分育て”の学び術」のテーマは、なんとなんと「スーパービジョン」を取り上げました。
正直、このテーマは、ちょっと筆(使っているのはキーボードですが)に力が入りました。その理由は、スーパービジョンの解釈が、研究者の方によって異なるからです。
スーパービジョンを定義する時に、「支持的機能、教育的機能、管理的機能、評価的機能」の4機能を入れるか入れないかでH先生、T先生、O先生、W先生などでは微妙に違う。
また、どれを最初に持ってくるか、その優先順位も異なります。果ては、「それってコーチングのパクリ?」(失礼<(_ _)>)と思わせるような説明を一部される方もいます。
さらにさらに、その活用の仕方も異なるから、ややこしい。
たとえば、個人スーパービジョン(1対1で行う)、グループスーパービジョン、ピアスーパービジョンから、ライブスーパービジョン(これには諸説あるようで…)、セルフスーパービジョンなどがあります。そして公開スーパービジョンというものまで…。
そして、それぞれのスーパーバイザーの有無、進行役(ファシリテーターと言うので余計に混乱)の有無、そしてグループスーパービジョンにおける参加者の立ち位置、指示・指導・教育の有無などなどにも実は諸説あるため、スーパービジョンを連載で取り上げるのはなかなかに勇気がいりました。
しかし、実際の現場に目を向ければ、全国でスーパービジョンは地道に行われています。主任介護支援専門員の研修でも、3日間行われています。
本来なら、職場で管理者や先輩・上司がスーパーバイザー役に、新人などがスーパーバイジー役になり、日常的に職場内スーパービジョンが行われるのが理想なのに、大勢が集まるグループスーパービジョンのみをスーパービジョンと思い込んでいる人がいたりするのも現実です。
大切な「学びの場」であり、教育的なエクササイズもあるスーパービジョンを取り上げないのはもったいない。
しかし、十数年前に聞いた「スーパービジョンはむずかしい」「スーパーバイザーできる人は相当の力量が問われる」「スーパーバイザーが育っていないからできない」が、今もケアマネジャーのなかで語られているという事実に、言いようのないもどかしさを感じています。
そして、事例検討会との混同・混乱もありますね…
スーパービジョンの説明が複雑になってしまうのは、どうしてなのか。日本にスーパービジョンが輸入?(紹介)されて30数年が経過しましたが、今もシンプルに定義づけられないのはなぜなのか。各先生方の定義を読んでも、今一つわかりにくい印象をいつも抱いてしまうのはどうしてなのでしょうか。
その原因として、「実践の学問だから」「実践のなかで磨かれる手法だから」と説明されても、さらに疑問が深まるばかりです。
ただし、コンセプトと手法は悪くない。対人援助職・相談援助職には、コーチングよりスーパービジョンのほうがずっと効果的です。
そんなスーパービジョンに悩む方にエールを送る意味で、今回の連載テーマに選びました。ぜひ、ご一読ください。
ちなみに次回のケアマネジャーの連載テーマは、「事例検討会で学ぶ」です。「参加者として学ぶ」(12月号)、「事例提供者として学ぶ」(1月号)と2回に分けて紹介する予定です。
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【研修会場・写メ日記】
香川県高松市 介護支援専門員協会主催研修会
「利用者(家族)の思いを引き出す質問力」
長野県飯田市 介護のかふね主催研修
「伝える力~文章の書き方~」
東京都小金井市 地域包括支援センター研修会
「文章・記録の上達術」
東京都大田区 訪問介護事業者連絡会主催研修―サ責業務の基本シリーズ
「ヘルパーマネジメント編~大切なこと、伝えていますか?~」
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