モニタリングの時間
昨日は、高松市介護支援専門員協議会の研修会でした。
テーマは、「利用者(家族)の思いを引き出す質問力」です。質問力が持つ「4つの力」(考える、気づく、動機づける、関係づくり)を解説した後に、話の流れから、「皆さんは、月1回のモニタリング(定期訪問)に、どれくらいの時間をかけていますか?」と質問をしました。
参加者120名中、「30分前後」に手を上げる方が多かったですね。「20分前後」という方も多くいらっしゃいました。
そこで、今回考えてみたいのは、「モニタリングの時間」についてです。はたして、どれくらいが適切なのでしょうか?
研修等でこのような質問をすると、必ず、「利用者(家族)さんによって違います」「人によっては、60分くらいかかる人もいます」などの返答が返ってきます。
もちろん、利用者(家族)さんによって異なるのはわかります。しかし、利用者(家族)の状態によって、それほど滞在時間に差があっていいのでしょうか?
人と話すのが苦手だという利用者(家族)にとっては、長居されるのはわずらわしいものでしょう。しかし、実際に拒否する言葉が出ていても、それが本音かどうか、という問題もあります。
もし、ケアマネジャーが、「サービスへの満足度」だけでなく、日々、襲ってくる「不安・不満」を聞いてくれる、「介護の愚痴」を親身になって真剣に聴いてくれるとしたら、どうでしょう。それでも1分でも早く帰ってほしいと思うでしょうか?
ケアマネジメントについて書かれた本には、新規のインテークについては、丁寧に行うよう具体的な記述が多く書かれています。では、モニタリングについてはどうか……むしろ、ついで(失礼!)のように扱われてはいないでしょうか?
では、モニタリングでは何を把握すればよいのか。一般的には、
・身体の変化、心の変化
・暮らしの変化
・ケアプランの達成度とサービス内容について
・各種サービスの利用度と満足度、新たなニーズ
などと言われています。
しかし、もう一つ大切なことがあります。それは、「これからの1ヵ月間をどのように暮らすのか?」ということです。
モニタリングというと、「これまで」と「いま」に着目する人が多いですが、「これから」についても、意識する必要があるのです。
例えば、5月なら「これから梅雨の時期をどう過ごすか」、6月なら「この夏をどう過ごすか」、11月なら「この冬をどのように過ごすか」を一緒に考え、しかるべき対応を相談し、各事業所に伝えることが必要ではないかと思います。
もちろん、このようなことを無意識(当然のこととして)に行っている方は多いでしょうが、それをモニタリングシートなどにも、しっかりと位置づけることが大切となります。
と、ここで話を戻しまして……
もし、モニタリングにおいて、「これまで」と「いま」について状況を把握し、「これから」を一緒に考えるとするなら、はたして20分前後の時間で行うことができるでしょうか?
おそらく、40分前後はかかることでしょう。
訪問時間の効率化(短縮化)にやっきになっていると、利用者(家族)の不安やがんばりを受け止めることがなかなか難しくなります。ともすると、うわべだけの「励ましの言葉」に終始してはいないでしょうか?
モニタリングは、大切な「相談援助の時間」です。
ケアマネジャーの皆さんにだけに認められた、介護保険制度上の業務です。
モニタリング時間をどのように充実させるか――、ケアマネジャーの皆さんの力量が問われています。
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【研修会場・写メ日記】
鹿児島県地域包括・在宅介護支援センター協議会研修会。
午前の部:「地域包括ケアシステムと地域ケア会議の役割」
午後の部:「介護予防ケアマネジメント」
北海道伊達市・登別市・室蘭市・白老町合同ケアマネジャー研修会。「利用者(家族)の思いを引き出す質問力トレーニング」
京都市中京区西ノ京地域包括支援センター民生委員研修会。
「個人情報とプライバシー情報保護」
静岡県浜松市「ひかりの園」中堅リーダー研修会。
「人材育成とキャリアデザイン」
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