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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

おしゃべり上手と会議上手

 サービス担当者会議、地域ケア会議、〇〇会議……。
 「あぁぁぁ! 会議、会議ばかりで、本当に嫌になります」との怨嗟(?)の声。どうしてそんなに、皆さん会議が嫌なのでしょうか。

 「時間は取られるし、話し合いは進まないし、遅刻早退の人はいるし、資料は多いし……会議って本当に無駄ですよね?」
 この言葉に同感される人は、結構多いのではないかと思います。
 それなら、いっそ、会議自体をなくしてしまったらいかがでしょうか。

 もし、会議をなくしたとしたら、独断で誰か(上司やリーダーなど)が、一方的に物事を決めていくことになります。
 そして、決まったことについては、きちんと守らなければなりません。
 すると、どんなことが起こるでしょうか。

 「そんなこと、聞いていません!」
 「それって、皆の意見を聞いたんですか?」
 「一体、誰が責任を取るんですか?」
 などの声が一斉に沸き起こることでしょう。でも、そうなったとしても元の木阿弥です。
 「だって、皆さん、会議は嫌だと言ったじゃないですか。話し合いの場なんて必要ないと言いましたよね。だから責任はこちらでとるので、これからは、こちらの指示したことにちゃんと従ってくださいね」

 このような状況を、果たして皆さんは望むのでしょうか。

写真1、2

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 さて、ここからが今回の本題です。

 研修会場などで、会議が好きか嫌いかを挙手してもらうと、私の印象では、「嫌い」と表明する率は女性の皆さんの方が高いんですね。これっておもしろいなと思います。

 女性の皆さんは、総じて「おしゃべり」が大好きです。紅茶とケーキがあれば、3時間はゆうにおしゃべりを続けています(おっと失礼!)。
 それなのに、会議となると……

 そこで、「会議」と「おしゃべり」の違いについて、次の視点から考えてみました。

(1)テーマがあるか
 →会議には、もちろんテーマがありますね。でもおしゃべりのテーマは、その時のノリです。
(2)時間の制約があるか
 →会議には、時間の制約があります。一方、おしゃべりは、話題が続く限り、時間の都合がつく限り、それと、紅茶とケーキがある限り(失礼!)続いていきます。
(3)話の進め方が決まっているか
 →おしゃべりの場合は、迷走・脱線・横道すべてOK! むしろ、その方がおもしろいといえます。ところが会議では、このようなことは基本的にはNGです。
(4)発言に責任があるか
 →多くの会議には、すべからく責任が付きまといます。でもおしゃべりはそうではない。だから楽しいわけですよね。
(5)本音で話せるか
 →おしゃべりは基本的に本音トーク。たとえ言いにくいことだって、「聞いた話なんだけど…」「ここだけの話なんだけど…」と枕詞をつけた本音トークが炸裂します。主観的発言もオールOKです。でも、会議でこれをやっちゃったら……確実に組織が壊れます(^_^;)。それに主観的発言だけでは周囲を納得させることができないため、具体的な事例や数字、声といった「裏づけ」のある発言が求められます。

 このようにちょっと比較するだけでも、会議とおしゃべりは、まったくコンセプトが異なることがおわかりでしょう。


 では次に、「会議上手かどうか」について、見ていきましょう。
 実は、進行役は、おしゃべり上手な人が向いているとは限りません。そのような人の場合、つい自分の意見を言いたくなり、その場を仕切ってしまうことがよくあるからです。
 進行は、むしろ話し合いの関係づくりができる人が上手(ファシリテーション上手)といえます。

 さらに、会議に参加する側の参加者についても見ていくと、たしかに、おしゃべり上手な人は、たしかに話の筋立てもわかりやすく、何を言いたいのかが周囲にも明解だったりしますね。
 でも、話すことが好きな人は、「話すことに夢中」になり、時に、何を言いたいのかがはっきりしていないことがあります。つまり、「話すことで満足」しちゃう人なんですね。
 途中で「何が言いたいのか、わかんなくなっちゃいました(泣)」と泣き言を言いつつ、笑いでごまかすといった高等戦術をとる人もなかにはいます…。


 実は、会議は“技術”です。
 つまり、会議のノウハウを知り、トレーニングをしていれば、皆さんも会議上手になることができるというわけです。
 スキルアップの一助として、拙著ですが、『ケア会議の技術』という本を紹介しますので、ご参考になさってください。

 おしゃべり上手な人、おしゃべり好きな人が、会議の技術のノウハウを身につければ、まさに「鬼に金棒」となります。


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【研修会場・写メ日記】

 今週は、研修会もお盆休みです。<(_ _)>


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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