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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

ケアプラン新様式 ~課題整理表(案)&評価表(案)~

 先日の土曜日、私はJR信濃町駅から徒歩10分にある東健会館にいました。それはなぜかというと…
 東京都介護支援専門員研究協議会主催の「ケアプラン課題整理表(案)&評価表(案)実証事業報告会」に参加してきたのです。

写真1

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 昨年5月に「ケアプラン新様式」としてリリースされた「ケアプラン課題整理表&評価表」の実証事業が、昨年の9月から今年2月まで全国で行われました。その集計がまとまったということで、今回の研修会になりました。

 大ホールはほぼ満席。いつもは後方に座る私ですが、今回は前から2列目のプロジェクターの真後ろに座ることにしました。


 まず第1部は、「実証事業の背景等について」という鈴木貴士さん(厚労省老健局振興課人材研修係長)の講演です。約1時間にわたり、なぜこの課題整理表が作成されたかの説明がなされました。

写真2・3

 パワーポイントを示しながら、「ケアプラン作成上の困難点のもっとも高いのが、ここに破線で囲ってありますが、課題を抽出し、長期目標・短期目標を立てるのが難しい、です」

 つまり、現場のケアマネジャーの皆さんがもっとも苦労しているのが「課題の把握=アセスメント=課題分析」であり、それを解決するツールとして開発された、と説明がありました。

 そして実証事業の目的として、(1)課題の整理過程がわかるシートが必要かつ有効かを検証する、(2)そのシートが有効なら、どのような項目を設定することが妥当かを検証する、が挙げられました。


 第2部は、日本総合研究所公共コンサルティング部・齋木大さんによる報告、「実証事業について~背景・目的・概要・結果~」でした。

写真4


 まずは、平成23年度「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する調査研究」において示された提言をパワーポイントで紹介。6点ある内の第2番目に、「ケアプランの様式の見直し」がありました。

 今回の実証事業の「評価の視点」は4つの立場にとって「有効かどうか」を評価するというもの。その4つとは、介護支援専門員、連携する多職種、個別サービスの担当者、保険者です。

 とりわけ私が大切と感じたのは、多職種&担当者です。
 それは、ケアサービスを提供する側にとって、いまのケアプラン様式では不十分であり、進化する時期に来ていると思っているから。
 その視点は、介護支援専門員目線ばかりでなく、多職種・担当者・利用者(家族)目線を配慮したものでなければいけないと考えるからです。

写真5

 実証ケアプランは731事例、アンケートの回答者は150人(54%)、担当事例は333事例だったようです。そこでのアンケートでは、課題整理やプラン作成に「役に立つ」と答えた人が63%、多職種への情報提供に「役に立つ」と答えた人が60%だったようです。

写真6

 その詳細の説明があった後に、実証事業で使った課題整理表と、今回実証事業を通じて改良した修正版の説明がありました。
 昨年5月の発表時の課題整理表をVer.1とするなら、実証事業はVer.2で行い、今回の修正版はVer.3ということになります。

 下記の課題整理票がVer.3になります。ちょっと見えにくいですが、かなり使いやすく、かつ考え抜かれているなと印象をもった次第です。

写真7

 最後に、東京都の介護支援専門員で実証事業に参加した3名の方の具体的で実感のこもる報告がありました。
 そこでは、それぞれに気づきがたくさんあり、多職種連携にもかなり有効に活用できそうとの報告がありました。
 ただ、「使い勝手」はまだまだ工夫の余地はあるといくつかの提案がありました。
 「メリット・デメリット」も具体的に示されたので、参加者のみなさんの納得度はとても高いものがありました。

写真8・9


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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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