「大介護時代」の到来
あけましておめでとうございます。
年の始めとなるブログです。
さて、新年早々に読み始めたのが、『大介護時代を生きる』(樋口恵子著:中央法規出版)です。昨年末に樋口さんからいただいた本を、ようやく読み始めています。
まだ途中なのですが、そのインパクトは「扇子で頬を叩かれる」ような印象です。つまり、目が覚めるような勢いで書かれているのです。
「介護」という用語が一般的になったといえ、30年前は「悔悟」としか頭に浮かばなかった時代がありました。「介」は「手助け」の意味、「護」は「護る(まもる)」の意味があります。造語といえ、実にうまく作ったものだと感心します。
樋口さんは、その介護に、「大」という字を付さなければならない理由をいくつかあげています。
1つ目がさらなる長寿化、2つ目が家族の急激な変容です。
何より、高齢者世帯のイメージが3世代同居でなく、「おふたりさま老夫婦」「おひとりさま高齢者」「未婚の子と住む高齢者世帯」となってしまった。それに少子化と非婚化の影響で、そもそも「介護できる家族」そのものが、減少化の一途を辿っていると指摘します。
介護保険は、「家族介護者の負担軽減」を掲げましたが、少子化の流れは急速で、皮肉にも「家族介護者ゼロ」に近いおひとりさまをどうするかまでは想定していなかった。
「長寿が人間の希求する平和と豊かさの所産ならば、介護は現代の人間の証明である」と…。長寿社会の人間が生んだ文化、それが「介護」であると指摘します。
また、壮大な挑戦だからこそ、あらゆる分野の人に参加してほしいと樋口さんは呼びかけます。まさに「総力戦」…。
超高齢社会を乗り切るには、社会の多様な分野に、それぞれの能力でできるだけ大勢が参画する方向へギアチェンジすることだと述べています。
その意味では、私も、「高齢者が高齢者を支える仕組みづくりが必要」と常々言ってきました。年金生活をされている方々は、「時間長者」でもあります。その中でも相当数いる元気高齢者を活用しない手はありません。
70代の方は80代~90代を支える。もちろん、食事・排泄・入浴の三大介護はプロにまかせて、見守り・声かけや話し相手になるなど、「ともに時間を過ごす相手」のボランティアになっていただける機会づくりを提供してはどうでしょうか。
これなら、高齢者とのコミュニケーションの取り方を学べば、誰もができることです。むしろ人生経験や仕事経験が豊富なほど、その能力は高い(話を合わせられる、共感できる)ということになります。その意味では、愛知県のぎんさん4人姉妹はうってつけということです。
大介護時代は、介護を人々と分かち合うことだ。家族は介護に一定のエネルギーを注ぐとしても、仕事と志と人間関係を失わないように、「“ながら介護”で行こう」と言える生き方を定着させたい、そう樋口さんは説きます。
ケアを通して、また新しい出会いがある。「老いがもつ脆弱性」は、「社会全体の強靭性」に転換可能ではないか。この樋口さんの問いかけに、襟を正される気持ちになる新年です。
今年も一年よろしくお願いします。
【ムロさんの写メ日記】
世界遺産・京都の下賀茂神社の鳥居です。
入ると、特大「ヘビ」の絵馬が迎えてくれます。
新年の平安神宮です。
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第362号(無料)は「上達の方法~人生の伸びしろ~」(木曜日配信)です。メルマガは随時登録受付中です。
ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。
Facebook始めました!(^^)!
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。