連載裏話:事例検討会 進行の勘所
今回は前回に引き続き、月刊ケアマネジャーの連載「高室流“恥”をかかない会議術」の裏話です。12月号のタイトルは、「事例検討会 進行の勘所」でした。
事例検討会は、事業所内外を問わず、事例提出者にとっては事例を深める場に、参加者にとっては事例を通して疑似体験をする「事例研修」(ケーススタディ)の場となります。
「目からウロコ」となることもあれば、何かしっくりとこないこともある事例検討会。その原因は一体どこにあるのかについて、今連載では考えてみました。
事例検討会が「混線」してしまうのは、なぜでしょうか?
参加者の側に立ってみると、何を話し合っているのか、何について発言すればよいかがわからない。そもそも、ケースの認識が一致していないのに深めようとしている……
そう感じたことはありませんか?
また、発言が感想・印象だったり、発言なのか質問なのかがわからない(発言と質問の混在化)ことはないでしょうか?
これらは、進行役の「手腕」によって、交通整理をして混線状態を解きほぐし、わかりやすい話し合いを行うことができるんです。その点で、進行役には、「話し合いの場面」を把握する力量が問われることになります。
つまり……
「〇〇さんのケースの理解は、ちょっとずれているぞ」
「検討のテーマを、〇〇さんは勘違いしているぞ」
「○○さんは、いきなりサービスの提案をしてきたぞ。結論を急いでいるな」
「○○さんは、自分の判断をみんなの判断として押しつけようとしているぞ」
これらの発言や質問をしている本人は、案外自覚していないことが多くあります。進行役として、この認識が持てるかどうかがポイントです。
では一体、どうすればよいのでしょうか?
このような発言があったときには、まず慌てずに、事例提供者に再度説明をしてもらう、話し合いのテーマを再度確認する、判断・提案は後半でということを示唆するなどの対応を行うことで、「交通整理」を行っていきます。
「進行の勘所」として、次の5つを挙げました。
①「全体像」を一致させるための補足作業
②「多様な視点・角度」の問いかけで深掘り
③見立ての「関連づけ・類型化」を行う
④家族構成図と生活歴で「物語化」する
⑤複数の「手立て」を段取り化する
一般的に「話し合い」(会議)には、“ゼロから何かを生み出す(決める)”ための創造的な会議から、“決まったことを実行に移す”ための遂行型の会議、“実行していることをチェックする”ための進行モニタリング会議など、必ず特徴(目的)があります。
そして事例検討会も、①事例への理解(見立て)を深めるゾーン、②事例への対応(手立て)を発見するゾーン、③対応を実行に移すために計画化するゾーンの3つの段階に分かれます。
このステップを確実に踏むことで、「70点」はもらえる会議の進行が可能となります。
連載でも触れましたが、最後に、進行役が「自分の意見を言う」ことについての注意点です。
進行役が個人の発言をしてしまうと、「会議の場」の流れを意図的に引っ張ることになってしまいます。まずは、できるだけ発言を控える、進行に集中することが大原則となります。
ただし、事業所内3~4人で行う会議の場合であれば、「これは進行役でなく私の意見として受け止めてください」と断るなどして、メリハリをつけるようにしましょう。この場合でも、発言が終わったらすぐに進行役に戻るのがポイントです。
このあたりを心がけるだけで、ずいぶんと話し合いはスムーズにいくことになります。
ちなみに、月刊ケアマネジャー12月号の表紙は、クリスマスをイメージした色合いです。手元に置いておくだけで(?)、クリスマス気分にひたれる一冊になっています。
お見事です!(^^)!
【ムロさんの写メ日記】
埼玉県地域包括支援センター管理職研修会(埼玉会場)。
講師は土屋幸巳さん(静岡県富士宮市地域包括支援センター:センター長)。管理職に求められるマネジメントについての講義と演習風景。私はシャッターを押しています(^_^;)。
第4期みえ福祉連携プロジェクトの合同研修会「~地域問題の発見及び地域との関わり方~ユニット活動での取り組み~」にて、平野隆之教授(日本福祉大学)とミニ対談。
「地域との関わり方」を編集した動画を、DVDで発表する松阪市小規模多機能「のろま倶楽部」の野呂さん。
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