ケアプランはチームケアの「連携シート」
昨日(11月12日)は、東京都大田区から依頼された「ケアプラン点検セミナー」の研修でした。
対象は5年未満のケアマネジャーの方々。150名のうち20数名は、1年以内の方でした。
研修時間は2時間弱。時間に制約もあるので、いつもの脱線(笑)は控え目にして、テキパキと進めることにしました。
「まず、このチャレンジシートに、ケアプランの作成で悩んでいることを書いていただけますか? では3分間、時間をとりますね」
緊張した面持ちで皆さんが書き始めます。
「次に、お隣の方とどのようなことを書いたのか、ちょっと話し合ってみましょう」
「エ~!」という声が上がり、やがて……
・利用者(家族)の意向をどのように書いてよいかわからない
・アセスメント情報が十分に得られない
・認知症の方が傷つかないような書き方がわからない
・つい同じ用語が並んでしまいがちになる
・プランの作成にかなりの時間がかかる
会場では、悩みを話す声、「そうそう!」と共感する声が活発になります。
「これは、他の研修会での事前アンケートの回答です。いかがでしょうか? 皆さんと共通していませんか?」
それから私は次のように話しました。
「今日の研修会では、“ケアプランをどのように作成するか”ということは行いません。時間が少ないですし、何しろ、今回の研修テーマが“ケアプラン点検セミナー”ですから。今日の私の話から、ご自分のケアプランをどのような視点で見直せばよいか、なぜそうなっているのか、つまり自己点検をする際の考え方・視点について、一緒に学びたいと思います。よろしいでしょうか?」
なぜこのような話をしたのか。実は、今回の受講生が、本日のレジュメを開いた瞬間の雰囲気から、「えっ、ケアプランの書き方を教えてくれるんじゃないの?」という“隠れたニーズ(?)”を読み取ったからです。
「書き方を教わると、こうしなくちゃいけないと考えるようになり、結果的にその方法に縛られてしまいます。考え方や視点を学ぶことで、様々なケースに応用が効くことになります」
ここまで話してようやく、受講生の皆さんの表情に納得感が表れました。それほどまでに、ケアプランの作成に困っている、悩んでいる様子が伝わってきました。
研修の流れは、まず困っている現状を確認して、その特徴的な点を示します。下の写真が、その際に皆さんに示すパワーポイントのシートです。
私の研修レジュメは「書き込み式」。実際は、枠の囲みの中は白くなっていますので、自分で書き込むことで完成させていきます。
ケアプランを巡る現状と背景、また、作業の悩みについて、下のように整理しました。
その後、その背景・原因がどこにあるのかを検証します。これが肝心です。
多くのケアマネジャーは、「書けない自分が悪い」と思いがちです。反省するのはよいですが、反省だけでは書けるようにはなりません。自己の力量を振り返り、分析する視点が大切となります。
◆書けない
→①書く内容が聴き取れていない
→②書く内容がまとまっていない
→③パソコンの操作に手間取ってしまう
「書けない」という症状にもこれだけの原因があります。
①はアセスメント不足、②は準備不足(下書きをしていない)、③は業務の処理能力の問題と分析できます。
このような話から、それではどうしたらよいのかと話を進めます。
そのとき受講生は、「ケアプランをどう書くのか?」と聞きたくなるでしょうが、私は「本来、ケアプランってなんだろう?」といきなり結論を示します。
ケアプランは、いろいろな研究者が定義をしていますが、私は中味より、“機能”に着目した定義づけをしています。
それが、今回のブログタイトルともなっている、「ケアプランはチームケアの『連携シート』」という定義づけです。
このチームメンバーのなかに、本人(家族)も含まれるのは当然のことです。そして目指すところは、「個別サービス計画」に具現化しやすいケアプランであることです。
ケアプランでケアが提供されるわけではありません。しかし、ケアマネジャーの中には、「それで事足れり」と勘違いしている人もいます。
そこで「個別サービス計画をもらわないでも平気、もらっても整合性がとれているかチェックしないで平然としている居宅介護支援事業所はないでしょうか?」と問いかけます。
「どう書けばよいか」を悩む前に、そもそもケアプランは、「何をどのように機能させるために書くものなのか」を考えることで、その目的に合わせた表記の仕方なりの工夫ができるようになります。
【ムロさんの写メ日記】
新潟県社協主催で行った、社会福祉法人施設長・管理者対象の「人材マネジメント」研修の様子です。
新潟県JAの居宅介護支援事業所&デイサービスの生活相談員を対象とした「コーディネート力入門」の研修会です。
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