ケアプラン新様式は、進化のきっかけ
10月29日(日)に介護支援専門員の試験が終了しました。昨年より受験者が微増したとのこと。基礎資格では、介護福祉士の割合は依然として高かったようです。
さて今回は、今年5月に発表されたケアプラン新様式(案)について書きたいと思います。
実は、月刊ケアマネジメント11月号(発行:環境新聞社)に寄稿をしました。他誌に書いたことを書くのは若干はばかられますが、「ウラ話」的な意味合いとして、お読みいただければと思います。
今回の原稿依頼は突然でした。
「ケアプランの新様式について、比較的否定的な意見が多いのですが、もう少し広い視点から書いていただけませんか?」という編集部のSさんからメールが届いたのです。
同編集部のセミナーに参加して、新様式(案)を含めた「ケアプラン詳細分析結果 報告書」をまとめた齋木大さん(日本総合研究所研究員)と國光登志子先生、お二人の講演を聴く機会があり、自分なりに発言する機会があればと思っていたので、締め切りは結構きびしかったのですが、お受けすることにしました。(結果的に、週1回配信しているメルマガ「元気いっぱい」が書けないというおまけがつきましたが……)
さて、書くにあたって私がハタと考えたのは、どういう流れで書こうかということです。
巷では、ケアプランの新2表(アセスメント表)については云々言われており、むしろ否定的な指摘が多いのが気になっていました。
それは、むしろ、「そもそもなぜこのようなシートが示されたのか」がまったく論議されていないことへの違和感でした。
ですから、まずは、その背景となる「ケアプラン分析」を通した「ケアマネジメントの現状分析」の深刻さを、読者に伝えるべきだろうと考えました。
実はその分析内容には、私がこれまでのケアプラン研修で危惧してきた内容が、リアルな数字として示されていました。
たとえば……
・利用者(家族)の意向欄の記述が少ない
・1表の総合的援助方針と2表が関連していない
・医療的サービスの記載が少ない
・3表の主な日常生活の記載がほとんどされていない 等々
では、新2表(アセスメント表)について、いかなる視点で書くのか……。
これまで、そもそも多職種連携といいながら、それに資するシートは存在していませんでした。そこをこの報告書は指摘したわけです。その点については評価したいと思いました。しかし、内容やレイアウトを見ると、やはり不十分さは否めませんでした。
アセスメント項目が少ないし、その順序にも違和感を抱きました。それに「予後予測」という項目名称もそうですし、利用者(家族)の意向・希望欄がないのもよくないと思いました。
今回は、そのあたりを指摘し、具体的な提案もしました。
新様式のなかで、私が評価したいのは「第5表」です。つまり、「評価表」というものを新たに提案している点です。
これが優れているのは、サービス資源別に「短期目標」と「サービス内容」を集約し、その「結果」と「コメント」を、介護支援専門員が書くようになっている点です。
現在の2表では、短期目標ごとに記載しているので、サービス提供側としては、利用者を総合的に支援しているのに、サービスがバラバラに提供されている感がありました。また個別サービス計画についても、とても作りづらいだろうと懸念していました。
今回の新5表は、そのあたりの矛盾に着目したものとなっていることを私は評価しました。しかし同時に、その評価視点が単純であることを懸念点として指摘しました。
いずれにしても、介護保険制度も12年が経過すると、いくらよいものでも古くなります。錆びも付いてくることでしょう。単なる錆び落としをしただけでは、新しい層(団塊世代の高齢者層)には、これまでのケアプラン様式ではとても納得してもらえないだろうと私は考えます。
根拠のあるケアプランと、評価ができるケアプランであるためには、「これまで」を変える勇気とチャレンジする姿勢が大切です。これはまさに、ケアマネジメントの「進化のきっかけ」になると考えています。
末尾に、変えることを避けることは、利用者の「不利益」を支援することであるという意味のことを書きました。
今回の寄稿の真意を正しく受け止めていただけるか、どのような反響があるか、今は楽しみにしているところです。
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コメント
アセスメントやモニタリングを行い、さらに同じことを何度も書き、35人担当者と関わり(入退院者含めるとさらにもう数人)、問題のある人に時間を割かれ、訴えない人は申し訳ないけどはしょり、それでも残業で毎日定時に帰れない。そんな時にこの様式が導入されれば、月の持ち件数は10人も減らしてやっとだと思います。
本当に担当者と関わる為に皆さんはどのように対応しているのでしょう?
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