連載ウラ話:発言を引き出す技術
月刊『ケアマネジャー』での連載、「高室流“恥”をかかない会議術」の8月号のテーマは、「発言を引き出す技術」でした。
このテーマは、なかなかセンシティブ(機微)なテーマですね。
皆さんも会議に参加したとき、発言がなく、シーンとなってしまった経験のある人は多いでしょう。でもこれって、たまらないですよね。
「誰か、何か言えよ」
「何も発言しないと、会議が終わらないじゃない」
他人事のように心でつぶやくこと数分……長い時間が流れます。
「あのう、何か意見はありませんか? 何でもいいです」
やがて、重い空気を打ち破るかのように、おずおずと進行役が切り出します。しかし、この一言が、さらにまずい結果を招くことに……
「何か意見はありませんか?」の真意は、“何でもいいからこの沈黙から救ってくれ”という進行役の叫びなんですね。
だから、「あのう、ちょっと話がズレるんですけど、いいですか?」といきなり話し始める人がいたってOKなわけです。
とにかく、沈黙から救出してくれればいいのですから。多少のズレなんて問題なしです。(^_^;)
しかしそこで、思いっきりズレた意見が出たらどうなるのでしょう?
今度は、「迷走」が始まるのです。
この迷走が、意味のある迷走なら、話し合いの幅としていいのですが、終わった話の蒸し返しだったり、テーマの本質からズレたりしていると……
今度は、目をつむって「瞑想」する輩が表れたりします。
ではもう一つ、まずい進行の仕方について紹介しましょう。
それは、「では、そちらから順番に発言をお願いします」と、強制的に発言を引き出すやり方です。
指名された側は、「え? 何でいきなりこっち側からなの?」と、うらめしい感情が湧きあがってきます。
1番目の人は、何の準備がないままにトンチンカンな発言をし、2番目、3番目の人は、1番目の発言を聞く余裕がなく、自分は何を言うかを必死で考えるハメに……
指名されなかった側の人は、「まだ回ってこないもんねぇ」と余裕をかましながら悠然と聞いています。
そして6~7番目の人から出てくるセリフの中に、「〇〇さんが言ったことと同じですが……」があります。
すでに発言した人間を“ダシ”にして話し始める輩ですね。内容が、本当に同じであればいいのですが、これが大概、違っていたりします。
そして、「ほぼ出尽くしたので、みなさんと同じ意見です」という発言。中には、何が同じかを言わずに、「同じです」だけ言う輩も。
(これはかなりのツワモノですね。ある意味、会議の奥義を知り尽くしているともいえます)
“出る杭は打たれる”
つまり、「同じ」というセリフで、同調している自分を演出するという鉄璧の防御です。文章に例えるなら、「以下同文」ということですね。
そしてひと通り回って、達成?できたのは、「全員発言」という既成事実だけ。で、中身はというと……たいしてない。
「では、皆さんもいろいろ意見やお考えがあると思いますが、最初に提案した〇〇でお願いします」
と進行役が告げることで、ようやく会議が終わることになります。
全員発言という「禊」(みそぎ)を受けたことによって、「全員で決めた」という形をとった進行役。あらかじめ決まっていた内容が、ひとり歩きしていくことになります。
このようにして、当事者意識を欠いた「決めごと」が、会議という場を通して、決まっていくのかもしれません。
……以上のようなことを防ぐために、いかに発言を引き出すのか、その“奥の手”を8月号では書いてみました。
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【ムロさんの写メ日記】
鳥取県にある社会福祉法人の中堅職員研修会。「問題解決と人材育成」がテーマです。
KJ法による、施設での「問題発見」のワークショップです。
3分間スピーチを全員で体験しました。
ワークショップ「人生曲線」。
まるで心電図のような人も……(^_^;)
なんと3年前の全日本腕相撲選手権のミドル級?チャンピオンとのこと。いやはや「丸太棒のような腕」でした。
特別養護老人ホーム「みどりの園」の夜の研修会。
理事長のあいさつ。
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