「CADL」というアセスメント視点
皆さん、「CADL」という言葉を耳にしたことがありますか?
「何それ? 聞いたことがない」
「ADLやIADLは知っているけど。あれとどう違うの?」
「厚労省がまた新しいことを言い出したの?」
いえいえ、CADLは、厚生労働省が言い出したわけでもなく、WHO(世界保健機関)が提唱しているわけでもありません。今のところ(^_^;)、私が『ケアマネジャーの質問力』(中央法規出版刊)の中で提唱している、まったく新しいアセスメント視点、ケアプランの課題設定の視点のことです。
先日の土曜日、東京都介護支援専門員研究協議会の主任力向上講座「質問力と分析力」で、この話をしました。
私がCADLを考えたきっかけは、とてもシンプルです。
それは……
「課題にどうして移動や排泄、入浴、洗濯しかないのだろう?」
というものでした。
たしかに、重度で寝たきりの方なら、ADLやIADLを課題として列挙することはわかります。
ところが、要介護1~3の人にとっても、それがニーズなのでしょうか? トイレで排泄することが目的で、生きているのでしょうか?
むしろ、食事や排泄、移動、入浴は、生きていくうえでの「手段」であり、その手段をサポートすることで可能となる「その人らしい暮らし(文化)」を、課題に設定することができないだろうかと考えました。
そうです。CADLとは、「Culture」(文化)を基本にしたもの。
「文化的日常生活動作」と説明しています。
具体的には次のような課題設定になります。
・ADL的課題設定「入浴をして清潔な身体になりたい」
↓
・CADL的課題設定「入浴をして清潔な身体になり、〇〇のコンサートを孫の〇〇と楽しみたい」
いかがですか?
入浴で可能となる“外出”の可能性に着目したわけです。
しかし、ただ外出といってしまうと、あまりに一般的であり、ケアチームには伝わりません。
そこで、本人が前向きになれることを質問で引き出すと、もともと「〇〇ファン」であることがわかったので、コンサートの鑑賞を設定したというわけです。
コンサートにはお気に入りの格好で行きたい。化粧もしたい。行けばもちろんペンライトを振りたい。一緒に声を出して歌いたい。そして2時間はトイレをガマンできるようになりたいなどなど……
このように、文化(Culture)が本人の心を「起こす」ことに着目したのが「CADL」の考え方です。
CADLを“課題”とするとき、ADL(移動、食事、排泄、着替え、整容など)やIADL(掃除、洗濯、料理など)は“長期・短期目標”になります。
そしてその目標の達成のプロセスは、“個別サービス計画”で具体化されることになります。
まさに、ケアプランがチームのケアの総合プランであり、各サービス事業所のサービス計画が個別プランとなるわけです。
これから、「CADL」のアセスメント視点&プランニング手法を、積極的に発信していこうと思っています。
【ムロさんの写メ日記】
静岡県浜松協働学舎根洗寮の職員研修「福祉リーダー養成講座」です。総勢12名の中味の濃~い1日研修でした!(^^)!
富山県地域包括支援センター職員8月研修会です。「マネジメント上手になる実践的会議の技術」を全員で学びました。
観察者を2名立てての会議のロールプレーです。
富山空港に「小杉爆笑劇団10周年DVD」を届けてくれた松浦さんと!
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