品川区が施設の研修計画を支援!
私はこれまで、「研修計画」の研修を、静岡県と全国老人福祉施設協議会で行ってきましたが、このたび品川区からその依頼を受け、研修に行ってきました。
まずは、品川区独自の予算で、区内の特養やグループホームを対象に研修を実施するということに驚きました。
指定権者は東京都なのですから、研修は都レベルでやる、というのが一般的な発想。
ところが、そこに独自に切り込み、率先的に始めてしまうあたりが、「品川区らしさ」といえば、らしさといえます。
研修計画を作成するには、一般的に「シラバス」というものを作ります。いわば研修の全体構成ですね。これが肝心。
私の講義では、まずここを押さえることから始めます。
なぜなら、たいていの施設では、次のような基準でシラバスを作っているからです。
① 今のわが施設に必要な内容
② 今のわが施設でやってこなかった内容
③ 今のわが施設の職員が集まりそうな内容
これでは、そもそも体系的な構成にはなっていません。
「必要」といっても、施設長や管理者、研修担当者がそう思っている程度ですから、基本的には“主観”なわけです。
もちろん、トピックス的な研修や緊急の事態(例:感染症、虐待)が起こり、その対策として、1年間集中して研修を行うということは、たしかにあるでしょう。
しかし、これだって、研修の「幹」がしっかりしていなければ、タイムリーな内容ばかりを追っかけてしまうことになります。
皆に集まってもらえる関心の高いものを選びたい、という気持ちはよくわかります。
しかし、集まってもらえる内容と、現場で必要な内容とは、意外と一致しないものです。
むしろ、たとえ地味な内容であっても、集まってもらえるような「タイトル」「中見」にしていくことに、知恵を絞った方がよいと思います。
ということで、私は研修の全体構成として、次の4つの領域を、年間を通してまんべんなく行いましょうと提案しています。
① 知識分野
② 技術分野
③ 倫理・考え方
④ メンタル・ストレスケア分野
とかく、現場は“技術”を求めたがります。
たしかにその手の研修は多く、今は、痰の吸引の研修が積極的に行われていますね。
でも、案外とやっていないのが、メンタル研修。つまり、ストレスケアやモチベーションの研修です。
まあ、これは講師が少ないというのもありますけどね。
それと権利擁護。
虐待などのテーマでは、私は、「何が虐待か」の研修より、「なぜ虐待をするのか」「虐待的ケアをしてしまう職場環境とは?」など、メンタルケアの面から研修を行うようにしています。
その方が、現場にとって現実的だったりするからです。
このように、まずはこの4つの領域の話をして、次に、目的と内容に応じて具体的にどの手法がよいか、その学習方法の例を出します。
・講義形式
・ワークショップ形式
・グループワーク形式
・ロールプレー形式
・OJT形式
実際に、職員全員が集まることなど施設では無理ですから、朝礼の機会やミーティングの時など、「小刻み学習」「自学自習」のノウハウなどもあわせて紹介しています。
それでは最後に、皆さんに書いてもらった感想をご紹介しますね。
●学習(学校で学ぶこと)だけではなく、それをいかに実践していくか、観ていくか、それが「学び」なのだと感じました。メンタル面は一切考えたことがなかった。これが今回の一番「気づいた」ことである。(H.Sさん:男性 介護職)
●普段、福祉現場にいると、傾聴とか寄り添いとか、そういうことが多く、何かを発信していく術とか、マネジメントみたいなものは遠く感じていました。だけど、すごく大切なことだと思っていたし、今日講義を聞いて、自然と引き込まれていく自分がいました。すごく興味深かったです。(A.Iさん:女性 介護職)
今回の研修会には、1施設から3人が参加をしていました。
私の講義終了後、その3人が集まって、研修計画の見直しと広報の仕方について早速打ち合わせをしていました。
「三人集まれば文殊の知恵」……すばらしいです!(^^)!
【ムロさんの写メ日記】
目黒区のケアマネジャー分科会研修会。
「『その人らしさ』に着目したケアプラン表記~個別性と具体性に着目する~」140名の参加でした。
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