介護支援専門員の「国家資格化」は必要か?
5/31に行われた「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の潜入レポ?の2回目です。
今回は、発表者の堀田聰子さん(労働政策研究・研修機構 研究員)と木村隆次さん(日本介護支援専門員協会 会長)のプレゼン紹介となります。
まずは堀田さん。「ケアマネジメントの位置づけとケアマネジャーの役割・学び」と題し、オランダにおけるケースマネジメントの研究をベースにした発表でした。
オランダでは、在宅ケア組織が、地域看護師をチームリーダーとして組織されているという実践例や、認知症統合ケアとケースマネジャーの役割について紹介。
その後、職業・資格プロファイルの継続的発展として、オランダにおいて職業資格者をどのように整備・育成しているのかの説明がありました。
そして後半は、介護保険下のケアマネジメントとケアマネジャーの実態と「学びの場のデザイン」の必要性(主にナレッジマネジメントを中心に)を説明されました。
おそらく2時間は必要であろう中味を、25分の駆け足で説明するにはちょっと無理っぽい印象でしたが、オランダの研究報告は興味深いものでした。
日本介護支援専門員協会の木村隆次さんは、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方について」と題した報告です。これもほぼ25分間でした。
最初にぶち上げたのは、「ケアマネジャーの国家資格化」構想です。
ケアマネジャーの質を担保していくためには、現在の「医療・介護・福祉の国家資格者&5年以上の現場経験者」というハードルではなく、国家試験というハードルを設け、それに現任ケアマネジャーと移行期ケアマネジャーと大学で学んだケアマネジャーをふるいにかけて、「標準化」を図るというものでした。
討論の場では、K構成員から、「どうして国家資格化しなければいけないか、その根拠がわからない。これ以上に資格を増やしてどうする?」と苦言(?)が……全体の雰囲気はちょっと冷ややかでした。
私も「ケアマネジャーの質の担保」と「国家資格化」という大作業を同列視することには、無理があると思います。
私は、ケアマネジャーは専門職ではなく、いろいろな国家資格者が集まった「総合機能職」であると一貫して述べています。
社会的認知を図りたい気持ちはわかりますが、どこかズレを感じます。
むしろ現実的な提案としては、医療・介護・福祉の国家資格のテキストに、「ケアマネジメント」「チームケアマネジメント」を明確に位置づけることが大事と考えますが、いかがでしょうか。
さて、次に木村さんが注目を集めたのは、政策誘導によって、併設型居宅から独立系居宅にシフトすることを提案したとき。
併設型では公平・中立に限界があるという理由からです。
「公正中立な真の独立事業所」を目指して、別立ての「高い報酬単価」で政策誘導を求めるというものでした。
そして1人ケアマネ事業所には、連携事業所との契約を義務化するというものもありました。
私は、独立系居宅だから「真の公正中立」ができるという主張には無理を感じました。
では、独立系居宅が、通所や訪問のサービス事業所を始めたらどうなるのでしょうね。
これって通所・訪問が併設型になると理解すればよいのでしょうか?
あとは、施設ケアマネの法定研修が、居宅介護支援に偏っているので、独自の位置づけをしてもらいたいという提案。
これは私自身、納得ですね!
最後に「ケアマネジャーを巡る課題」について木村さんから報告がありました。
その中に、「介護報酬の体系を、維持・改善の度合いを反映したものにするべき」「ケアマネジメントの評価指標の確立が必要」とありましたが、その根拠がちょっと不十分……。
私が括目したのは、「54万人のケアマネ合格者に有効期限を設けるべき」という主張でした。
やはり年齢の壁は大きいですよね。70代でケアマネに合格をした人は知っていますが、果たして80歳までやるのか?
いずれグループホームで、「○○さんは元ケアマネさんです」と紹介される日がやってこないとも限りません……(^_^;)
次回の検討会は今月末とのこと。
気になるのは、その傍聴券が手に入るかどうか、です。
何せ、傍聴の募集がギリギリになるので、うまく対応できればいいのですが……(>_<)
【ムロさんの写メ日記】
長崎県メディカルネットワークのケアマネさんたちを対象にした、ファシリテーション研修の様子です。
レジュメです。
久々の雲です!(^^)!
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