認知症とコミュニケーション・ケア
ここ数週間でグループホームや宅老所の方々と話す機会がありました。どの方もそれぞれにキャラクターが濃く、話していて、その思いとパワーに圧倒されそうになります。
グループホームや宅老所という「身幅の居住空間」で、認知症の高齢者の方々をケアされている責任感と日々の実感があるからでしょう、話されるひと言ひと言が具体的で思いがこもっています。
大分市での研修会のこと。会場までの送迎に来てくれたのが某グループホームの職員さんです。道中、話をうかがっていると元は中学校の美術教師とのこと。「縁あって、いまはグループホームで認知症の方々のケアにたずさわっています」と彼女は話してくれました。
認知症のケアで苦労するのは幻覚や妄想があらわれた時。どのような関わり方をされているのですか?と尋ねると、いろんな役になっているといいます。その一例です。
「ある83歳の男性の方です。かなり認知症が進んでいました。この方は、がっしりしたタイプの男性の介護職が近づくといつも拳を握りしめて威嚇するような素振りをみせていました。その後、かなり細身のきゃしゃな男性に担当が変わると、とたんに雰囲気が変わり、『おい、○○クン、これをやっておいてくれ』と言ったそうです。彼は、どうやら僕を部下だと思っているようですと話すので、私も事務のOLになり、声がけや促しを仕事の指示を受けるような口調に変えました。すると、とてもうまくコミュニケーションがとれるんです。パジャマの着替えも、これから出張ですので、この服にお着替えになってはいかがでしょうか?とうながすと、機嫌よく着替えてくれるようになりました」
さらに彼女は続けます。
「私はこれまでに霊媒師になったこともあります。妄想がひどくて怖がっている認知症の女性の方から、あそこに○○の霊がいるからなんとかして!と頼まれました。『わかりました。私も以前そういう霊媒の仕事をしていましたので・・・安心してください』と話してから、その場所に立って悪霊退散!とお祓いをしたこともあります(笑)」
先の例は、男性が元は市役所の職員だったことを情報共有していたことがヒントになって、職業上の関わりでうまくいった例。後者は、相手が求めている者(つまり安心できる存在)にいったんはなりきることで落ち着いた例です。
認知症ケアについては、医学的な見地も含めて膨大な本が出版されています。その原因疾患に応じて、あらわれる症状も異なることが詳細にわかってきています。
そこでケアの面から考えたとき、「その人らしさ」を尊重するには、その人が安心できる住環境づくりと人間関係づくり、そして食や衣服、整容、趣味などに関する「その人らしくあった時期」の情報を、どれだけ持っているか、そしてそれを職員間で共有できているかがポイントになってくるんだなと、いつも実感させられます。
認知症ケアを「コミュニケーション・ケア」の面から一度じっくりと掘り下げてみたいと思っています。
ムロさんの写メ日記
【長崎市認知症グループホーム連絡協議会研修会「チームケアとコミュニケーション」研修会】
日中は現場を離れられないので、グループホームのみなさんの研修会のスタートは夜の7時。終了は9時。それでもみなさん、とても熱心です
【長崎市メディカルネットワーク職員研修「相談援助にいかすコーチング手法」】
狭い会場でしたが、1対1になり、尊大な態度・傾聴の態度、楽しい思い出・つらい思い出などをグループワークしました
グループで体験したことを交流し合い振り返りをします
【佐賀県鳥栖地区広域連合研修会「ケアプラン点検支援マニュアルを活かしたケアプラン作成の方法」】
一年前は2時間でしたが、今回は5時間を使い、しっかりと研修をしました
鳥栖地区介護支援専門員連絡協議会の会長・綾部浩光さん。趣味は武者姿のコスプレ。甲冑を3体も所有し、各地のお祭りで練り歩いているそうです。写メを見て、その本格さに脱帽しました(^_^;)
【佐賀県多久市研修会「これであなたも面接の達人~対人援助に活かす質問力と伝える力~」】
多久市の研修会場には150人の皆さんが集まりました。会場はギッシリでした。この日の多久市は寒かったです(>_<)
会場の方とのやりとりです
おなじみのサイン会です。お懐かしの方々がおもわずポーズです
今回の研修会を主催した多久市地域包括支援センターの左から高崎さん(主任介護支援専門員)、堀田さん(保健師)と福祉用具レンタル会社の山口さんたち(同じ姓です)
多久たくろうしょ「ホーム西渓」を運営するお2人です!
玄関で迎えてくれた「運だるま」たち
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