質問力の効用
『ケアマネジャーの質問力』という本を中央法規出版から刊行して丸2年が経過しました。タイトルが目を引くのか、読まれる方は順調に増えているようです。
当時、質問力といえば、テレビでもお馴染みになった齋藤孝さんの著書があり、そちらもかなり売れましたね。齋藤教授といえば『声に出して読む日本語』(草思社)もブームにもなった人です。
この本を書くきっかけは、介護予防ケアマネジメントの本を書いたことに始まります。保健師の方や相談援助職のみなさんから、「利用者(家族)の意向がなかなかうまくきけない」という悩みを聞いたからです。
たしかに本人(家族)の意向欄がとてもさみしい。つまり書かれている文章がきわめて少ない。おとなりの「現在の状況」欄がびっしりなのに……(^_^;)です。書かれていないのは話さないから。でも実際は、話すきっかけ、つまり糸口となる「質問」ができていないのでは? という素朴な疑問から始まっています。
ちなみに、私が書く本はいつも、私自身の頭に浮かんだシンプルな疑問(つまりこれも自問という質問ですね)から始まっています。シンプルであればあるほど、コンセプトとしてはいいのです。
さて、今回、ケアタウン総合研究所で質問力トレーニングというセミナーを行いました。日頃から質問力のことをていねいにケアマネジャーの皆さんに教えてみたい、それも講義でなく実践版としてやりたいと思い、先週の東京セミナーでのテーマとなった次第です。
質問力の効用を紹介しましょう。
実にすごいですね。なにしろ質問すると人は話し始めるからです。
たとえば……「どちらのご出身ですか?」「私は山形県○○です」。
なんと10文字程度の問いかけで5分は延々と話し始める人がいます。抽象的な質問ですが、次のような問いかけをしました。
「最近、気になって仕方ないことはなんですか?」
すると、近頃の政治に腹を立てる人がいれば、体調の変化で癌を心配する人、友人が悩んで職場を辞めてしまう話をする人もいます。かなり広い質問ですが、「気になること」をキーワードに話し始めてくれるわけです。
このように質問は話しはじめの「きっかけ」となる、素晴らしい効用をもっています。
そして、このような意味の話もしました。
「質問に対して人は正直に答えたいと思うものです。小学校の頃に、嘘はいけません、正直に話しなさいと先生から教わりましたよね。ですから今は話したくない・話せないという事情があるのに、質問をすると相手の方はとまどったり、言葉を濁したりします。つまり質問は相手の心につき刺さることを忘れてはいけません。言葉が人を傷つけることがあるように、質問も相手の心を傷つけることを忘れないようにしましょう」
でも恐がることはありません。
質問は、相手が話したいこと、言いたくてしかたないこと、聞いてもらいたいことならば、素敵な「道具」となってくれます。
質問上手はコミュニケーション上手……
いろいろと試してみましょう!(^^)!。
ムロさんの写メ日記
駒ケ根研修の前日、駒ケ岳を登攀!千畳敷カールから頂上をめざします
頂上です。ガスがひどく、このあと雨になります
降りている途中でなんと携帯が鳴りました!つながるんですよね。鳴ると出るのが習慣で…(^_^;)。「いま、ちょっと2000メートル級の山を下りている最中なので、折り返しかけます」と返事しました(笑)
私を頂上まで連れて行ってくれた、向かって左の中山さん(駒ケ根市)と右の丸山さん(宮前村)。お二人ともケアマネさんです。笑いっぱなしの登山でした
駒ケ根市研修会の様子です
おなじみのサイン会。記念になるセリフも書きます
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コメント
高室先生。駒ケ根での研修有難うございました。「チームケアの勘所」というテーマでの講義、「ケアプランはチームケアの連携シートである」は感動しました。
翌日からすごい反響です。サービス事業所の方からはプランが届くし、逢うケアマネからは「私、プラン作り直してます」って笑顔が返って来てます。まさに今駒ケ根が変わる時。そんな喜びを実感しています。
私のサービス事業所では、今回の研修の伝達講習をすることになりました。また個別プランに「安心・安定・安楽・・」などの文字を無くし、もっと利用者・家族に質問をしてきて具体的に書こう、その人の個別性を出そうという意識が高まっています。先生に来て頂いて本当に良かったです。
東京セミナーでの質問力の研修、ますますバージョンアップしているんですね。いいな~私もうけたいな~。今度は質問力のテーマで、先生に研修に来ていただこうかしら。冬の真っ白な駒ヶ岳を見ながらの研修企画、すすめてゆきたいと思います。
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