利尻景色いろいろ
先週のブログでは、北海道は稚内市を訪れたことを書きましたが、翌々日は、あの利尻島に渡りました。お隣は礼文島です。地図で見ると、すぐそこには樺太が北極に向かって伸びています。
利尻島は、稚内市からフェリーに乗って渡りました。さすがに寒くて、甲板に出るのも冷や冷やものです。港に到着して町役場の保健師の舟橋さんが迎えてくれました。さっそく入ったのが、第1回丼グランプリ(あるんですねぇ、いろんな全国一が……)で優勝したうに丼を賞味させていただき、そのあと、島を案内してもらいました。
利尻は1,670mの利尻富士がそびえ、そのふもとの周辺に港町が広がっています。ですから島はちょうど丸くなっていて、100キロマラソンとしても、とてもいいコースのようです。
島を走ると、その道路には冬の浜風に乗った雪を避けるための防雪柵が目につきます。植物の隙間から火山の岩が見え隠れしています。
「この地域の家は岩場近くにも建っています。海に出やすいし、浜で昆布を採るのにも便利がいいんですよね」
訪問先に同行しながら船橋さんが説明してくれます。
すると、岩場の近くに軽トラが止まっています。ナンバーを見て「○○のかあさんだね。あの方、もう80過ぎているのに、軽トラを運転して昆布採りをされているんです。ああ、あそこ、あそこにおられます」
すると、相当急な岩場の下の波打ち際で、長いカギ棒を手に、波に漂う昆布を懸命に手繰り寄せる人がいます。右足は軽く湾曲し、やや足を引きずって歩かれているように見えます。
「島根県の隠岐島でも、青海苔採りに精をだす要支援の方がいるといいますが、こちらはどうですか?」
「ええ、みなさん、働き者ですね。とくに昆布は潮が満ちた時や波が荒い時によく採れるので、危ない時でもいかれますね」
昆布をたぐり寄せる技はなかなかのものです。
それから島をグルグルとまわります。
道路が拡張され、新しくなった家々もありますが、空き家になった家も頻繁に目に入ります。
「利尻では、子どもたちは高校から札幌に出ますね。ええ、10代から下宿です。学費もいるので、利尻の親は本当に大変です。それからですか? 島に帰ってくる子どもは少ないですね」
その説明を聞くと空き家が余計に目に飛び込んできます。
途中、利尻島民俗資料館に寄りました。私を迎えてくれたのは、大きなトドのはく製です。樺太での生活の様子がとてもくわしく展示してあります。利尻は戦後、樺太からの引き上げで30,000人近くが暮らしいていたといいます。
ニシン漁に沸いた利尻も、やがてニシンが採れなくなりさびれることに。いまでは昆布とウニとホタテが中心の漁に変わりました。
研修会は「対人援助職にいかすコミュニケーションの技術」。利尻島のケアマネジャーや介護職、看護職、地域包括支援センター、デイサービスや特養職員、老健職員の皆さんも参加され、90分の研修会でしたが、とても中身の濃いものができました。
参加された方たちからは色々な感想コメントをいただきました。
「仕事中はいつも人に見られているという意識が大切ですね」(ケアマネジャー)
「こちら側にとっては大したことでなくても、相手にとっては話しづらいこともありますね。島の暮らしだとついなれなれしく尋ねてしまうので、注意したいと思います」(ヘルパー)
「利用者(家族)さんに対して、待つということは必要だと思います。すぐに話してもらえなくても、待つことで何かを得られることがわかりました」(特養の介護職)
「誰にでも話しやすい人と話しづらい人がいるのは、自分の特性との関係があるという話に妙に納得しました。たくさんのヒントをいただけておもしろかったです」(特養の看護師)
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