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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

稚内景色いろいろ

 先週、北海道は稚内市を訪れました。
 これまで北海道といえば、札幌、函館、帯広など、いずれも道南地域が多かったのですが、今回は日本列島の北端の稚内市から研修の依頼があり、とても楽しみにうかがいました。

 空港に降り立ち、初日のお世話になった地域包括支援センター所長の高瀬さんの出迎えを受け、外に出て驚きました。
「さ、寒いですねぇ~!!!」
 東京はすでに梅雨も近く、じっとりとしていたのに、稚内空港は寒さの真っ只中。「昨日来られていたらもっと大変でしたよ。なんせ、7℃くらいしかありませんでしたから(笑)。寒いですか?」と笑われてしまいました。

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 この後、車で宗谷岬に向かいました。降り立って、さらにびっくり。それは、それは寒くて……北風の風速が1m上がれば体感温度は1度低くなるそうです。いやいや、すさまじい風でした(ちなみに、奥尻島のほうが強かったですけどね……)。
 間宮林蔵の記念メモリアルの前です。
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 昼に入った食堂は、冬の期間は休みということ。雪でとても、この高台までは車は登れないから。といっても、冬場にこの宗谷に来る人は滅多にいないので、店を閉めているのは当たり前で……。
「この店のホタテラーメンが有名なんですよ。稚内市内から30分はかかるんですけど、わざわざ食べに来る人がいるそうです」
 名前は「間宮堂」です。あの間宮林蔵が樺太の地に渡ったのが稚内だったという由来から命名したそうです。
 それほどに稚内市民の舌をわしづかみにしているエピソードを聞き、明日の質問力の研修に使える(例:来年の7月には、孫たちと一緒に間宮堂のホタテラーメンを食べる)と、早速心のネタ帳に書き込みました。
 翌日、参加者の方に尋ねると、たしかに「地元でも絶品!」と多くのファンがいるようでした。
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 車を走らせながら高瀬さんはいろいろとていねいに説明してくれました。
「稚内は、樺太からの引き揚げの方も多いですね。この土地は福井県や福島県など全国の次男・三男の人たちが開拓で住みはじめた土地ですから、極端な訛りはありませんね。地名はアイヌ語にちなんだものも多いですが、福井県などと共通の地名もありますよ」

 車は、道の駅風の土産物屋さんに停車します。最北端の証明書をもらい、それから奥まった所にある「稚内流氷博物館」を訪れました。かつて流れてきた流氷を冷凍保存(当たり前ですね)にして観光者に披露しているそうです。ここ数年は温暖化の影響でしょうか、流氷は少ないそうです。
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 稚内市の山間部や沿岸部には風力発電機のプロペラが。市としてエコに本格的に取り組んでいて、78機の風力発電機が稼働しているそうです。
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 そしてソーラー発電にも積極的で、今回の大震災をきっかけに視察が増えているそうです。
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 やがて市内に入って稚内水族館を訪れました。そしてお隣りの南極観測船「宗谷」の記念館にもうかがいました。館長さん直々の案内です。中には当時の居住棟がそのままありました。タロウ・ジロウを紹介した記事も展示してありました。
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 記念館を出ると、なんと8頭の鹿がゆったりと散歩しているではないですか! 高瀬さんによると「こんな風景は当たり前です。鹿がやってきて畑を荒らして大変です」とのこと。といって、けっこう、市民のみなさんも受け入れている様子で。本当にサファリパークのような印象です。
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 稚内市を案内してくれたのが、三菱の電気自動車です。軽ですが、車内は広く力強い走りでした。
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 研修会場です。朝の9時30分から午後5時までの長丁場でしたが、みなさんとしっかりワークショップも含めて学ぶことができました。
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 休憩時間に外の屋上を何気なく眺めると、なんとカモメが卵を温めているではないですか!
「昨年もエサをやっていました。すっかり気にいったみたいです」
 カモメや鹿と共生する市民の暮らしに、とてもほのぼの感を抱きました。
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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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