ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

東日本大地震、その時、私は…

 先週の金曜日、午後2時30分過ぎのこと。私は霞が関近くの17階のビルにいました。ユラッとして……
「あれ? 地震? まあすぐにおさまるだろう」と思っていたら。
 おさまらない。ユラユラとビル全体が左右に揺れ始めました。
「ちょ、ちょっと、これマズイですよ」と精一杯の声を出すだけの私。できたのは、開いたドアが閉まらないように、しゃがみこんで手で支えるだけです。1分程度でしょうか。
 やがて、ヤレヤレ大丈夫と思ったら、再び揺れだして。
 また扉のそばに座りこんで固まってしまいました。

 数分後、ドドドッと下から突き上げるような響きを靴底に感じたと思ったら、再び、揺れが始まりました。
 この時には、地震発生の館内放送がうるさく流れ始めます。

続きを読む

 突然、すべりながら1人の女性が顔を出しました。
「このビルは、耐震構造はしっかりとしていますから、大丈夫ですから! 大丈夫ですから!」
 黒メガネの40前後の女性事務員風の人です。両手を拡声器のように広げて、懸命に笑顔で私たちに説明してくれます。

 落ち着いて下さい! とただ叫ぶより、こうやって具体的に説明してもらったので、私たちはより安心な気持ちで揺れが止まるのを待つことができました。

 それから、20分後、1階までの階段を降りました。いつ揺れが来るかと心配しながらの移動です。
 外に出て、目を疑いました。
 日比谷公園は避難した人々で、交差点もいっぱいです。
 次のアポイントのために、地下鉄も止まっていたのでタクシーを捕まえることに。ところが、いくら待っても「乗車中」ばかり。あとは迎車のマーク。待っているとバイク便の2人がワンセグでテレビを見ながら話し合っていました。
「どうなっているんですか?」
「いま、ぼくたちお台場を通ってきたんです。するとフジテレビの隣のビルが爆発して大変でした。あっ……スゴイ!」
 覗き込むと、市川のガスのコンビナートの火災の現場でした。

 それから、ようやくタクシーはひろえたのですが、すぐに渋滞。携帯も全然つながらないので、結局、降りて、会社まで歩いて戻ることにしました。
 2時間近くをかけて新宿に戻りました。日頃、走っているので、疲れは感じませんでした。ところが、途中、歩いて戻るしかない人たちの群れ群れ……。こんな光景は初めてです。
 これには本当にびっくりしました。

 事務所に戻ると、スタッフがすでに倒れた本棚などを戻してくれていて、きれいなものでした。
「いやぁ、このテーブルの下に隠れました。でも、本棚が倒れてきた時に、そのノートブックパソコンがあって……ちょっとへこんじゃいました」
 みると愛用のパナソニックのレッツノートがボコボコに(>_<)。
不安な気持ちで電源を入れると……立ち上りました。うれしかったですね。

 その夜はすべての電車は運休となり(深夜に一部の都営地下鉄は復旧しましたが)、10時になっても帰宅難民の人たちの流れはまったくなくなる様子はなく。近くの花園小学校は緊急避難所として開放され、そこに吸い込まれていく人がたくさんいました。

 それから深夜、そして翌朝、そして翌々朝。
 私はテレビの前から動けなくなりました。東日本、とくに岩手・宮城・福島を襲った地震と津波……
 テレビが報じる八戸市、宮古市、久慈市、陸前高田市などは、研修でうかがった地でもあり、津波で流され、瓦礫となった光景に心が潰れそうになる自分がいました。

「津波が来たんで、まずは逃げようと、左手に妻、右手に娘といっしょに手をつなぎながら走りました。でも津波がものすごく速くて。妻も娘も津波にのみ込まれてしまいました」
 向けられたマイクに45歳前後の父親が、悔しさと悲しさを振り絞るように語っています。
 10メートルの「波の壁」は、容赦なく人々の命を奪い去ってしまいました。その無念さが、画面を通して、私の胸に突き刺さります。

「千年に一度の天変地異」……

 3月11日と12日で日本は大きく変わった印象です。

 なにから支援すればよいか、なにが支援できるか。
 小生なりに一生懸命に考え、行動に移していきたいと思います。


     (被災地の皆さまへ)
 東日本大地震及び福島原子力発電所事故により被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
 そして被災地でがんばる介護・医療・福祉・行政関係者の皆さま方に心から励ましの声を送りたいと思います。
 一刻も早く救助・復旧が進みますよう、切に願っております。


ムロさんの写メ日記


2011031501.gif
地震発生から20分後の日比谷公園前です

2011031502.gif
2011031503.gif
歩いて仕事場や家路をめざす人たちです。長蛇の列で「まるで花見のときみたいだね」の声が聞こえるほど、混みあっていました


2011031504.gif
地震発生から2時間後のコンビニです。パン類やおにぎりはなにもありません。どこのコンビニもこの有様でした。
翌日、コンビニに行くと「配送でようやく届いても、すぐにパン類やおにぎりはなくなります」と中国の青年・孫さん(30歳)。彼も中国の親から心配の電話が届いているそうです


2011031505.gif
次に品切れになったのは、なんと電池類と下着類です。これも見事に共通していました


2011031506.gif
私のパソコンはこの通り、名誉の負傷をしました

 今週のメールマガジン「元気いっぱい」第271号(無料)は「東日本大地震」(水曜日配信)です。メルマガは随時登録受付中です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。


コメント


 私は発生時は丁度認定調査中。同席は妻・包括センターの担当ケアマネ、そして認定対象者をヒョイと抱きかかえそうなディサービス主任。
 避難確保に雨戸を開き放して下さったり、「みんないるから大丈夫ですよ」と声かけしてくださいました。ユラユラ長く横揺れする古い民家で高齢のお二人には心強い時間だったかもしれません。そして今日の精神保健福祉士の合格速報、宮城県も受験地だったので思いを馳せると心が痛みます。


投稿者: 末兼恵理 | 2011年03月15日 19:25

末兼さんへ

 メール、ありがとうございます。

 みんながいるから大丈夫ですよ・・・どれほど心強い言葉でしょう。

 あれから、まだまだ余震が続いています。

 なんと、長野や静岡でも震度6の地震が起こっています。東北の地震とは関連がないと専門家は説明しますが、これほど近い間隔だと、素人考えでもとても関連がないとは思えません。

 福島原発の炉心溶解事故という、想像もしなかった事故までもが私たちを襲っています。

 まさに「日本の底力」が試されているのかもしれません。


投稿者: たかむろ | 2011年03月16日 17:28

高室さんのリアルな体験談で現場の雰囲気が伝わってきました。

私は地震発生時に熊本から大阪·堺の病院の寮に引越作業の最中で、地震にも気づかず、TVも置いてないため、大変な状態になっている事を後から知り、衝撃の連続でした。

堺や熊本でも支援の輪が広がっています。近いうちに起きるだろうと言われている、東南海地震に備えた災害時の援助体制づくりでも、日頃からの支え合いが欠かせないです。地震国にいる限り、明日は我が身ですね。

去年、東北を初めて旅行した思い出が今も鮮明であり、一時は関東の高看の学校への進学も考えていたので、心が痛むとともに複雑な気持ちです。


投稿者: 石原智恵 | 2011年03月16日 21:43

メール、ありがとうございます。

 熊本から大阪の堺の病院の寮に引っ越しですか。では、これから大阪弁に囲まれての仕事になりますね。

 私は日曜日、熊本県天草市に研修でうかがっていました。
「こちらでも1mの津波があったんです」
の現地の主催者の話にびっくりです。
 津波は、共鳴し合って、世界中を駆け巡ることは知っていました。でも、この湾が入り組んだ天草市に、ゆるやかですが、津波の影響があったと聞きびっくりしました。

 いま、ネットやさまざまメディアで、励ましのエールが全国を包んでいます。
 できるところから、できることから。
 そして、何ができるかを考えることから始まることの大切さを感じます。

 私も研修会場で、最初に黙とうをみなさんといっしょにやっています。


投稿者: たかむろ | 2011年03月18日 14:28

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

【高室成幸さんの最新刊】
『ケアマネジャーの質問力』
著者:高室成幸
定価:¥2,100(税込)
発行:中央法規出版
ご注文はe-booksから
3172.jpg


bn_caretown.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books