「わからないこと」を大切にしよう
近頃、「なんでもわかっている人」が重宝される風潮を感じます。テレビでも評論家(最近は減りましたね)やアナリスト、コンシェルジュなる人が「結論から言うと、実は○○です、これは。」と解説するシーンが多い。聞いた方は基本的な知識がないテーマほど、「そうなんだぁ」と納得しやすいですね。
しかし、これって結構、危うい気がします。
わかりやすく話してくれることは貴重ですが、なぜそんなにわかりやすく話せるかという問題意識を持つのが大切です。もしかして、むずかしいこと、大切なこと、肝心なことはちょっとややこしいので、とりあえず省略して、わかりやすいようなポイントだけを整理していたりして。
これって、実はなにも言っていないことになります。
むしろ間違った中途半端な解釈が一人歩きすることに。
複雑なことをわかりやすく伝えようとすると、どうしても単純化した「フレーズ」にしなければなりません。そして省略しながら整理して、あとは言いきる表現(人によっては独断と偏見かな?)で言うことで、聴き手にとって「わかりやすく」することができます。
しかし、それはある意味、コンパクトに要約しているだけで、どうしても「深さ」は出せなかったりしますね。
たとえばICFの説明なら、こんな感じでしょうか。
「ICFはマイナス面でなくプラス面を重視します。だからポジティブなんですよ」
これって相当に乱暴な解釈です。
ICFは「国際生活機能分類」と訳されているのに、そんな解釈などどこ吹く風。おそらく現任研修では、ICIDH(国際障害分類)の発展形ということや、アルファベットと数字の組み合わせの「コード番号」により世界のすべての人が、「それは下肢筋力の低下」のことを言っていることがわかる「共通言語」となったという点は説明を受けているはずです。
個人因子(性差、教育環境、生い立ち、性格、教育歴など)と環境因子(住環境、地域環境、制度など)を位置づけたのも画期的でした。
ところが聴き手のなかでは、わかりやすかったぶん、「これは○○だぁ」と勝手に脳に自分の都合のよいフレーズだけインプットしてしまう人がいます。……そんなことが重なって、かなり乱暴な解釈が一人歩きしはじめるのです。
どんな話さえも、わかったつもりにならずに、「なぜかな?」と疑問を抱きながら話を聞いて考える作業を行うと、さらに深い理解が得られます。
要するに、「わからない」と思えることは、とても大切なんです。
わからない先に、さらに深い「わかること」が待っているわけですね。そう思うと、わからず屋さんって、それなりに意味があったりして。ちなみに、私は結構、わからず屋さんです(^_^;)。
早速、明日から試してみましょう。
ムロさんの写メ日記
京都市右京区京北地区の民生児童委員・老人福祉員合同研修会の様子です。ちなみに私の生まれ故郷です
最初に警察署の方から新手の「振り込め詐欺」の寸劇です(笑)
婦警さんも登場です。なかなかうまいですねぇ
愛媛県研修会。今回は「伝える力」がテーマです
おなじみのサイン会です
埼玉県吉川駅前のナマズ像です
吉川市の研修会です
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