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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

男が行きたがるデイ

 介護に関わる番組が増えています。近頃はワイドショーで介護に関するコーナーを作ったり、特番を組む例も多いですね。ここ2~3年はずいぶんとレベルが高くなってきて、かなり突っ込んだ視点で取材していると思います。いかがですか、みなさん?

 そのなかの1つが土曜日の朝の「男性が行きたがるデイサービス」を紹介した番組でした。映し出される利用者は70代~80代の男性ばかり。どの顔も楽しげでリラックスしています。一般的にデイサービスを紹介すると、女性がいきいきとしていて、男性がむずかしい顔をしているものです。

 ところが、この東京都世田谷区のMデイサービスは違います。
「いやぁ、ここだと楽しいですよ。よそのデイサービスは、午前中にお手玉づくりをするんです。できる人はいいけど、やらない人はそれをまわりで見ているだけです(笑)」と、どれほど暇でつまらなかったかを熱心に話されます。
 このデイサービスが男性利用者を引きつけるコツはなにか? これが案外と単純なことでした。

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①雑誌・新聞がひと通り読める
 20年前の喫茶店のように、テーブルの上に朝日・読売・毎日などの全国紙と男性週刊誌(ポスト、現代など)、男性月刊誌などがズラリと揃っています。
「男性誌だから、女性のグラビアもあって楽しいですね(笑)。これは家ではなかなか読めないですからね」
 この発想はいい。知的好奇心の旺盛な男性は多いので、男性週刊誌などはいいですね。それにわざわざ買うのも大変で、出費になりますからね。10年後は週刊漫画誌が登場するのでしょうね。

②珈琲が飲める
 あえて、コーヒーでなく珈琲と書いたのは、喫茶店がオシャレだった世代だから。「かなりいい豆を使っています」とさりげなくスタッフが利用者の方々に言う印象がまたいい。かつては、ブレンドが300円の時にストレートが400円でブルマウンテンは750円~1000円した時代ですからね。いい豆でしっかりした珈琲が飲める。これは男性にとってはニクイサービスです。

③麻雀ができる
 かつてのモーレツサラリーマンは、仕事が終われば麻雀。徹夜麻雀で「○○円を負けた・勝った」というのが武勇伝だった時代。この麻雀がアクティビティに入っているデイサービスはまだまだ少ない。なにしろ女性中心ですからね、いずこも。
 麻雀は4人で喋りながら手先を動かし、それに相手の持ち牌と捨て牌を予想し、勝負の流れを読むというすばらしく心身機能を使うゲームです。発語機能もバッチリ使うし、点棒で計算すれば、それは脳トレの世界ですもんね(笑)。

 このデイサービスを始めたのが同世代の70代の元営業マンの方。自分が行きたくなるデイサービスがないことに奮起。つまり素人の発想だから、専門職からすると型破りに見えるサービスを生みだせたというわけ。でもよくよく考えると、そこでやっていることは、かつての喫茶店と雀荘でやってきたこと。それを「再現」しただけのこと。
 回想法も、実は再現です。

「先生、利用者の層が昭和ばかりになりました」
 土曜日に研修をした際、50代のケアマネさんが私に言いました。そこで「昭和20年までの生まれですか?」と逆質問。つまり「戦中派」の世代となったか、ということです。戦中派は、出征はしていないが、幼年期・思春期に戦争で湧いた日本を体験し、終戦後、みずからの価値観を“鬼畜米英・神国日本”から親米と民主主義日本に大きく変えた世代ということです。そして日本の高度経済成長まっしぐらの時代を支えた世代でもあったのです。
  
 ちょっと話がむずかしくなりましたが、要するに、対象とする利用者の層と家族は確実に変わってきています。
 デイサービスや施設等で提供するアクティビティや認知症ケアの方法もかなりユニークに変える時期にきているのではないでしょうか?


ムロさんの写メ日記 

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全国老人福祉施設協議会での「研修計画担当者養成講座」の様子です

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一生懸命に話していますねぇ。この日はネクタイでした

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ワークショップの発表に注目する受講生のみなさん


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静岡県介護福祉士会の「プレゼンテーションの技術」のセミナー。これはディベートの演習です。あるテーマを賛成派・反対派にわかれて自分たちの主張をする練習。いやいや盛り上がりました(笑)


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神奈川県立保健福祉大学実践教育センターでやられている「トータルケアマネジメント」コースの皆さん。全員が現場のケアマネジャーや保健師、看護師などの方々です


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ファシリテーションの演習風景です。観察もしてもらいました

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平出田鶴子さんです。なんと76歳とうかがいビックリです。63歳で社会福祉士を取得されたと聞き、またまたビックリ(^_^;)


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コメント


セミナーの写真を拝見すると、自分も参加したくなりますね。
そんな雰囲気が伝わります。
なにげに先生の髪型が変わっているし^^
今回のブログをプリントして弊社のデイ管理者に渡してみました。
これまでもスポーツ紙や週刊誌を置いていたので、同じ試みが認められた記事は営業的に苦戦している彼らのは励みと、ではなぜ苦戦中なのかを考えるきっかけになればと思ったので。
そうしたところ、翌日、彼が「これどうだろう」とプレイ○ーイを持ってきました。
結果、あまりに露骨なページがあるので保留になりましたが、そのかわり女性週刊誌も増えていました。
機嫌はいい職場なので、結果につながることを祈っています。


投稿者: ホッシー | 2011年01月21日 21:02

 拝読しました。現在、特養での庶務の傍ら、経理を担当している単独デイの運営の補佐もしています。過当競争で苦しい状況にありますが、私自身の以前からこうしたデイ(自分が行きたくなるような)もいいな、せめて曜日限定でもと思っていたので参考になります。
 先生が以前からおっしゃっておられたように「ビートルズ世代が利用者になる日」も近いので、これからは相当工夫が必要かと思ってます。
 ちなみに私が行きたいデイは、「職員がみんな優しくてかわいくて(笑)」「映画がタダで見られて」「眠い時にすぐごろ寝ができるところ」ですかねえ。


投稿者: 光明寺雅人 | 2011年01月22日 16:33

ホッシーさんへ
 髪型が変わったことに気がついていただき恐縮です(^_^;)
 さて、今回の記事を話題にしていただいたところ、男性週刊誌を持参したというエピソード。女性が多い職場ですから、雑誌選びもなかなかむずかしいとは思います・・・。
 男性によって好みは週刊文春や新潮もあれば、週刊現代、ポストもあります。インテリさんには月刊文芸春秋とかね。
 どうでしょう、「男の隠れ家」という月刊誌もありますよ。これなんか、いいと思いますねぇ。


光明寺さんへ
 地域によっては過当競争気味のデイもあるように聞きます。いかに特徴をだすか。知恵とコンセプトが問われてきますね。
 団塊世代向けのデイサービス。いまからリサーチするために、ヒヤリングをするといいかもしれませんね。鉄男もいるでしょうから、手先のリハビリに「日本の城」の模型づくりや「戦車プラモデル」づくりがあったり。それをデジカメで撮影して、お互いに合評会をやるとか。案外、熱中する人はいると思いますね。(今の40代なら、フィギュアなんでしょうね)

 光明寺さんの好みは案外「秋葉系」のメイド・デイサービスだったりするような(笑)?いかがでしょうか?


投稿者: たかむろ | 2011年01月26日 20:32

はじめまして。
調布市でケアマネをしてます。
>男が行きたがるデイ 世田谷のMデイサービス
を是非ご照会いただきたく投稿させていただきました。
担当のご利用者様の男性なのですが、世田谷と言ってもよいぐらいの調布にお住まいです。通常のデイサービスでは長続きしない方なのですが、マージャンなら喜んで通える気がしています。


投稿者: セニョール | 2012年01月13日 17:22

はじめまして。
私はデイサービスの管理者を調布でしています。
私の施設も男性向けなので共感してしまいました。

こちらでは、喫茶風コーヒー、麻雀、新聞や雑誌のほか、ゴルフブースを設けています。
90歳くらいの男性でもマイゴルフクラブを持参して楽しまれてますよ。

やはり、男性はなにか目的がないと体を動かしたがらないですね!

定員の8~9割が男性でとってもにぎやかです。


投稿者: ナース | 2013年03月30日 13:10

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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