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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

ファシリテーションの技術

 この土日は、日本福祉大学福祉社会開発研究所が主催するケアマネジメント研究セミナーが開かれました。今年で第6回を迎えます。昨年は「交渉」というテーマで、小生もシンポジウムと分科会に参加をしました。今年は「これで安心!権利擁護」というテーマでした。
 初日は伊賀市の介護支援専門員協会の研修会で、残念ながら参加できたのは2日目のみでした。でも多くの出会いもあり、とても充実した1日でした。
 詳細は後ほどの写メでお伝えしますね。

 さて、今回のテーマはファシリテーションです。
 このところ、会議の進め方に関する研修が増えています。先日は愛知県社協で「社協職員のためのコミュニケーションとファシリテーション技術」を1日行いました。今週は岐阜県主任介護支援専門員研修で事例検討会を行っています。

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 ファシリテーションを「会議の進め方」と理解されている方も多いのですが、本来の意味は「チームビルディング」。ちょっと大げさですが、要するにチームメンバーの力を存分に引き出すための技術といっていいでしょう。

 チーム内で情報が共有化され、各人の持てる能力が役割に応じて、いかんなく発揮されるためには「ミーティング」が重要な場面になります。日本流では会議ですね。その会議が効率的・効果的に進めるには、進行の技術があり、それを「見える化」したのがファシリテーションの技術と私は解釈しています。

 大切なのは「決定した内容」ではなく、「プロセス」に着目する点。これはいいですね。決定なら、トップが決断すればいいことですから。しかし、それでは現場は動かない。なぜなら……合意と納得がないからです。素早い決断も、現場には一方的な押しつけとなってしまっては、テコでも動かない要因になったりします。仮に動いたとしても、現場には不満が鬱積することになります。

 どのような組織も、何も手を打たないと、その「組織年数」によって「生活習慣病」に悩まされるといいます(まるで人間と一緒ですね)。
 変化を嫌った安定志向は仕事の硬直化(身体なら拘縮化でしょうか)をきたすことになります。
「うちの法人は、どうにも前例主義がしみついていて、以前の担当者のやり方を踏襲するので、新しいことを嫌がるんです」
「なにごとも面倒臭がって現場は正直やりたがらないですね。ケアマネさんはいいわね、そうやってプランを書いていればいいんだから。現場は人手がないからできないのよ、と言われちゃうんです(泣)」

 こういう状態だと、何を決めたって「できない」理由をあげて、結局何も変わらないことになります。

 こういうときに力を発揮してくれるのがファシリテーションです。1人で決めるのでなく、みんなで話し合って決める。人は発言すれば、自分の言葉には責任を持つものです。そこがポイントです。
 これに気づかずに中途半端な話し合いばかりだと「どっちつかずの結論」に終始して、結局現場の不満が埋もれることになります。

 ファシリテーション技術を活かした会議の進め方……これを知ると、会議の苦手意識から解放されます。仕事だけでなく、プライベートな会議でも使える「一生もんの技術」を身につけてみませんか?


ムロさんの写メ日記

2010120701aichi1.gif
愛知県社協「社協職員のためのコミュニケーション術&ファシリテーション術」の研修会風景

2010120702aichi2.gif
なぜかこぶしを上げています

2010120703nippuku1.gif
日本福祉大学第6回ケアマネジメントセミナーの全体シーン。2日目の分科会報告です

2010120704nippukutamaki.gif
D分科会の玉木幸則さんです。NHK教育テレビの「きらっといきる」のメインパーソナリティーであり、西宮市自立支援センター:メインストリーム協会副代表。今回は「権利擁護とは?」を自身の体験も合わせての講義でした

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秋の日比谷公園の午後です


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池に浮かぶ銀杏の葉たち
  
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コメント


 ファシリテーターという言葉はよく聞くようになりましたが、ファシリテーションになるとそうでもない気がします。

 例えば、スーパービジョンやディスカッションなんかにくらべると遥かに少なく、それゆえにファシリテーターの役割も他の参加者のルール理解もまだまだなのではないでしょうか?
 といっている私自身「知ってるつもり」ですから、どうしてもファシリテーションよりも自分の考えを発表して、ともすればそれに賛同させようとしがちです(下手するとデマゴーグですね)。
 かといって、まったく持論を展開できないのは不全感いっぱいです。そうしたらこのモヤモヤを吹っ切れるでしょう?
 それからプロセス重視も最近の潮流のように思いますが、管理職としては到達して欲しい答えなりレベルがあるのも事実です。
 ファシリテーションではそれも封じなくてならないでしょうか?それでは職責が全うできないと考えてしまうと、その結果が悪い方に転んだ時のことばかり想像できて落ち着けません。
結果ありきとプロセス思考の中間とか間をつなぐ方法はないでしょうか?
 感想でなく申し訳ありません。でも、同じような思いの方、いらっしゃるのではないかと思いつつお尋ねする次第です。


投稿者: ホッシー | 2010年12月09日 16:07

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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