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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

「絵手紙」と「時手紙」

 暑い9月です。
 毎年、この時期には「もう風が涼しくなってきましたね」と、秋の便りを感じる会話が交わされるのに……「また、今年最高の暑い日ですね」とうだるような会話に終始する始末。ヒートアイランドという用語があります。エアコンの室外機の吐き出す熱風などや道路の反射熱などがビル群でさらに気温上昇し、都市の空気がモア~と上昇する現象をいいます。
 今年は日本列島全体がヒートアイランド。
 地球全体が「熱帯化」しているのでしょうか。
 本当に心配になります。

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 研修で「アセスメント」をテーマに依頼されることが多いのですが、私はADL・IADLの視点以外に「CADL」という造語を使ってアセスメントを説明します。「C」とはカルチャー(Culture:文化)のことです。その人なりの文化性(楽しみ、暮らし方、人間関係等)を課題に位置づけ、それを実現するために、ADLの面でどのようなことを克服しなければいけないか、IADLの面でどのようなことができるかをアセスメントし、ADL・IADLを短期目標・長期目標のなかに組み込むという手法です。

 「要介護1~3の方のケアプランではとても作りやすいです」とみなさんから反響をいただいています。排泄や洗濯を課題とするのでなく、「○○シアターで映画○○を孫と一緒に観る」ことを実現する(続ける)ためには、身ぎれいな服装でいつもいるために洗濯をし、外出するために自分でトイレに行ける(失禁管理ができる)などを目標とする。これなら、「行為が目的化する」ことはありません。
 
 では重度の方ではCADLの視点のケアプランはむずかしいのか……私は、むしろ大切になってくると思います。
 重度でも本はなんとか読める、ビデオは見られる、手紙はゆっくりなら書ける、短歌・俳句は読める……「できる」の視点に立てば、できることはけっこうあるのではないでしょうか?
 たとえ文字を書けなくても「口述筆記」で俳句を作ることは可能です。宮崎県社会福祉協議会が毎年開催している「高齢者短歌」全国コンテストでは80歳以上の方の投稿があります。ご本人は書けないので、家族や介護職員が口述筆記で書きとっているのです。

 そこで私がいつもいいなぁと思って例にあげるのが「絵手紙」です。実際はハガキの裏に書くので「絵葉書」なのですが、言葉の印象がよいのでしょう、いつのまにやらハガキでも「絵手紙」というようになり、女性や高齢者の間で大人気です。

 絵手紙の良さは、下手は下手なりに「味がある」という点。微妙な筆の震えが味のある表現になるわけですから(笑)。私も大して絵はうまくないのですが、絵手紙にするとそれ風になる(笑)ので、たまに気が向いたら描いたりして、ずいぶんと助かっています。
 墨で枠どりをして、あとは水彩の色をさらに薄めて紙になじませるように染み込ませて色づけをする。この手法は筆圧も大していらないし、サイズもハガキ大ですから、あっという間に描けてしまうというのも気に入っています。

 先日、愛知県蒲郡市に足を伸ばした折に入った文学館でのこと。イベントコーナーで絵手紙展示をしていました。お中元やお歳暮代わりの絵手紙一筆・・・心がやさしくなりますね。それに、絵手紙サークルのみなさんからは、「みんな待っていますよ」と心待ちする言葉が添えてあります。どれも文字だけでは伝わらない温かさがあります。

 とても感動したのは、「時手紙」というサービスでした。5年~10年後の未来の自分や友人に手紙を送る。その保管と投函をやってくれるといいます。現代はいかに早く安全に届けるかが勝負になっているのに、のんびりと数年後の自分や友人に手紙をしたためる。

 すばらしい発想に、思わず写メをしてしまいました。

ムロさんの写メ日記

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お歳暮代わりの鮭の絵手紙です


2010090702.gif
絵手紙サークルの仲間のあたたかさが伝わってきます


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時手紙のポスターです


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65歳から入れる100歳道場。いやぁ、気合が入っています(^_^;)


2010090705.gif
第9期講師養成講座(初級編)を、この9月4日・5日に行いました


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コメント


初級研修講師の研修~ご指導ありがとうございました
原稿に頼らず自分の言葉で『伝える』ということは~ありのままの自分が出てしまう。
癖もそうですが、ものの見方考え方など内面的なところまで表情や表現に出ることを体験させて頂きました。
東奔西走 先生もお身体に気を付けてお過ごし下さいませ(^O^)


投稿者: 春日井市 ありんこ | 2010年09月09日 23:48

春日井市のありんこさんへ

 早速のメール、ありがとうございます。
 5分間講義、いかがでしたか?不安だとついつい原稿を持ってしまいがちですが、すでにそこで原稿に頼ってしまっている自分がいます。

 まずは自分の「生身」でがんばってみること。素材はどなたも素敵なものを持っています。ありんこさんは姿勢もよく(バトン部だったと聞き納得です)、結構いい線いっていたと思います。

 実は、アドリブもリアクションも案外とできる人が多いんですね、この講座に来られる人は。ただ、ちょっと照れがあったり、遠慮があるから、控え目になってしまいがちだったりするのかも。

 その殻を破るのが私の役割。多少、きつめのアドバイス(笑)があったかと思いますが、これからの仕事の「滋養」となっていくことと思います。
 ありんこさんもお体ご自愛下さいね!(^^)!


投稿者: たかむろ | 2010年09月14日 01:07

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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