伸びしろを育てる
全国でケアマネジャーの研修会に呼ばれると、ちょっと感じる違和感(すみません)のひとつが「人生のベテラン級」が増えたなあということ。つい6年前なら40代前後が多かったのが、印象として(あくまで印象です(^_^;))、40代後半が増えているなということ。それにいきなり60代前後で合格された方もいます。
40代後半のなかにはケアマネ歴5~7年選手もあり、ケアマネ取得後、ずっとがんばっている人達でしょうね。10年選手もチラホラで、「よくがんばられましたね」と声をかけるようにしています。
ただあまり真面目すぎるのも? と思い、「よく生き残ってきましたね」なんて言葉をかけたりします(笑)。
ちょうど、5年前に「伸びしろ」という言葉がメディアでも使われるようになりました。最初は、そんな日本語ってあったかなぁ……と思いました。みなさんも「糊しろ」は思い浮かぶと思います。これは紙と紙をくっつける際に、お互いの紙が重なる部分の片方に糊を塗りつけるわけですが、その部分をさします。
でもどうもニュアンスが違うんですね。
ネットで調べると、10年前に、サッカーのジュビロ磐田・山本監督が初めて使ったそうです。その際は「将来性がある」「まだまだ伸びる」という意味で、どうやら造語だったようです。
みなさんはどうでしょうか? 「○○さんは、まだ伸びしろがある」と言われると、案外、ホッとしませんか? だれもがもっと成長したい、もう少し段取りがよくなりたい、周囲に迷惑をかけることのないように実力をつけたい……この思いは、仕事だけでなく、スポーツなどにも共通していえること。それは、自分が実力がついたと実感する機会がふだんはなかなかないからではないですか?
「こんなことやって、私は大丈夫かな?」と疑問を抱きながら仕事をする日々が多いのも現実だからでしょうね。
私が40歳の大台を超えた時、体力的に落ちてきたのを実感したものです。できたはずのことができない(時間がかかる)、覚えていたことを忘れている(ヤバイ!)、酒の量が減った(ヨカッタ?)などなど、加齢による変化にうろたえましたが、みなさんはいかがでしょうか?
私が研修で講師をする際、5年くらい前までは、「すべてをわかってください、実践してください」と願っている自分がいました。しかし、そのこと自体、聴いているみなさんの主体性を尊重していないことに気がついたのです。
「私の話のなかで、何をやるか、どうやるかは、受講したみなさんが決めることだ。私が押しつけることではない」
専門職として責任をもって仕事をしている職業人の方に、「○○をしなさい」は傲慢だと。むしろ「○○という方法があります。○○という考え方はどうでしょうか? みなさんの日々の仕事の中で試してみて、うまくいくようならぜひ続けてください」と、聴き手のみなさんの選択に委ねるようにしました。
これはいわば、私なりに聴き手のみなさんの「伸びしろ」を信頼してのこと。50歳前後からのケアマネジャーの仕事は大変だと思います。まず仕事に慣れることの苦労があるでしょう。身体一つで利用者・患者と1対1で直接に関われる仕事と、利用者とケアチームの間の「立ち位置」で走り回る(立ち回る?)間接援助の仕事では「ストレス」の溜まり方も異なると思います。腰の痛みより肩の凝り(パソコン?)や頭痛(ストレス?)に悩まされるようになったと、あるケアマネさんからも聞きました。
ただ、この新しい仕事に、「がんばろう」「ケアマネジメントに新しい可能性を感じる」と思えるみなさんは、「心の伸びしろ」はしっかりもっているなと思います。
私の仕事は、その「伸びしろ」を縮ませることなく、しっかりと育てることともっと伸ばすこと……常に心がけるようにしています。
ムロさんの写メ日記
昨年度に引き続き、三重県の「みえ福祉連携プロジェクト」のコーディネート役をケアタウン総合研究所が行うことになりました。第1回目の全体会議の後のユニットミーティングの様子。グループホームなど小規模の事業所が連携を組んで研修・採用・人材交流をしようという国の補助事業です
北海道の♪「空と大地」を感じさせる景色です。右の木立がステキです
もうすぐするとじゃがいもの葉っぱで緑一色になるのでしょうね
空からの光景・・・午前中に飛行機に乗ると、下界はいくら雷雨でも、雲の上ではいつもこう。さまざまなカタチの雲を眺めることができるので、あきないですね。私の癒しの時間です(^_^;)
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第235号は「利用者(家族)との距離感」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。
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