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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

日々が感性

 私たちは、初めて目にしたことや知ったことに対して、「そんなこともあるんだ」とかなり驚くことがあっても、それが続くと当たり前になってしまい、感心することも驚くこともしなくなります。
 もちろんそれで良い面もあるでしょう。いちいち毎回驚かれていては、大丈夫かこの人は、と逆に頼りなく思われてしまったりします。
 ところが、別段大層に感じたり驚くことしないでいると、大切なことを見落としたり、普通のこととしか感じずに、ほとんど気にも止めないで進んでしまうこともありがちです。

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 みなさんにとって「ありがち」なケースも、本人とっては初めての体験の数々…。その戸惑い、不安、悲しみ、悔しさに心寄せる「感性」を考えてみたいと思います。

 雑誌『ケアマネジャー』の2009年2月号が手元にあります。この号は新介護報酬が発表された時期の号で、「特定事業所加算(Ⅱ)」「医療連携加算」「退院退所加算」「認知症加算」「独居高齢者加算」など、新しい報酬の解説がグラビアページの次に掲載されています。報酬改定からもう1年が経過したんだ、としみじみしたりします。

 さて、その2月号の特集タイトルは「ケアマネ業務再入門」です。ケアマネジャー歴10年選手といえど、数年ごとにかわる制度についていくのもやっとと聞きます。年数が重なると「今さら聞けない」こともふえるわけで。その点では、妙にタイムリーと感じたものです。

 特集PART1の「ケアマネジメントプロセスの要点」を読み返すと、アセスメントのコーナーにステキな表現がありました。
 港北医療センター訪問看護ステーションの乙坂佳代さんは「相手の『痛み』を理解しましょう」と述べています。
 この感性、いいと思います。ADLやIADLは実際に動作をしてもらうことで、ある程度今のレベルを把握することができます。しかし、本人の「暮らしの痛み」はどれだけできるかではなく、本人がどのように「感じているか」だからです。
 とても主観的なことだからこそ、その人なりのつらさを知る上で「痛み」はひとつのキーワードです。

 なのに、「○○ができるならまだ大丈夫」と一方的に判断して、「○○は大丈夫ですよね?」と念を押すような質問をしたら、「ああ大丈夫です」と返事をする方は多いでしょう。むしろ「○○するのにつらくありませんか?」「○○はどのようにやりづらいですか?」と質問することで、本来、本人が抱いている、言葉にならない「痛み」が言語化されることになります。

 決めつけはとても危険なことです。利用者の健康状況や心身状況を知るのも「痛みの理解」のステップだと乙坂さんは指摘します。

 疲れ果てた人は「希望」を見失っています。「希望探しのお手伝い」もアセスメントの大切な要素…とも乙坂さんは言います。

 自らの人生を手放しで語る人はいません。昔の写真や置き物、思い出の品や手紙を眺めながら言葉少なに語るものです。
「あの戦争の後、いろいろありました。ほんまこつ、いろいろありすぎて、涙も出んようになりました(笑)。こうして生きとることが申し訳ないと思う日もありますが、いまは楽しいです」
 この84歳の女性の語りから、みなさんは何を感じ取りますか。彼女のまなざしにどのような思いをくみとりますか?

 感性は「心の目」です。

ムロさんの写メ日記

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第8期研修講師養成講座のビデオロールプレーの様子です

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受講生役で参加したときの様子です

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街なかのタウンウォッチングです。緑のウサギのダンス姿です!(^^)!

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東京のビジネス街は、カートや車で弁当を販売するゲリラ店舗がとても繁盛しています。値段はワンコイン(500円)が相場。他のお店には結構影響大のようです

今週のメールマガジン「元気いっぱい」第224号は「片づけられない高齢者たち」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。


コメント


 ときどき、介護福祉士の養成校で講師をしています。新入学生には、社会人を経験した人もいて、年齢も18歳から60歳代までとバラエティに富んでいます。
 介護の体験について、各グループで話し合ってもらったところ、若い学生に対して、年齢を重ねた同級生が、「私よりずっと若い人たちが、私よりはるかに深い、障碍に対する問題意識を持っていることに感心させられた・・・」という、感想を語りました。
 それに対して、わたくし空は、(若い方に対して感動できる感性をいつまでも持ち続けたいものです)と、コメントしました。
 
 ・・・メタ感性の小話・・・


投稿者: 空 | 2010年04月17日 21:48

空さんへ

 そうですか、空さんは介護福祉士の専門学校で講師をされているんですね。昨年から、減少傾向だった介護福祉士の専門学校が息を吹き返しているという話を聞きます。その理由は、若い人が入学するようになったのではなく、不況でリストラされた中高年の人が通学すると失業保険の受給期間が延長されるという理由で入学される例が全国で増えているというのです。

 中高年の人たちが20代前後の若者の話に感動する、一目置くというのはいい話ですね。自分よりも人生の先輩と一緒に机を並べることも、とてもよい経験だし、生徒たちに感想を語らせ話し合わせることはとてもよいと思います。

 きらりと光る介護職の育成…まさにすばらしい仕事だと思います。


投稿者: たかむろ | 2010年04月27日 01:53

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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著者:高室成幸
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発行:中央法規出版
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